「週刊文春ミステリーベスト10<2018年>」が発表 国内・海外部門の第1位は?

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 全国のミステリー通や書店員によって選ぶ「週刊文春ミステリーベスト10<2018年>」が「週刊文春」(12月13日号)で発表された。

 国内部門で1位となったのは東野圭吾さんの『沈黙のパレード』(文藝春秋)。町の人気娘として多くの人に好かれた女性を殺害したとされる容疑者への復讐劇に物理学者の湯川が挑む、ガリレオシリーズ第9作。本作では特異な人物ではなく、被害者女性を愛おしむ普通の人々が湯川と対峙する展開となっている。

 著者の東野さんは1958年大阪府生まれ。1985年に『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。1999年に『秘密』で第52回日本推理作家協会賞を受賞。2006年には『容疑者Xの献身』で第134回直木賞を受賞。ガリレオシリーズは、累計1000万部を突破する人気作で、2007年から2013年にかけてテレビドラマ化や映画化されている。他著に、『名探偵の掟』『白夜行』『手紙』『祈りの幕が下りる時』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』など多数。

 海外部門は、アンソニー・ホロヴィッツさんの『カササギ殺人事件(上・下)』(東京創元社)が1位に選ばれている。本作は女性編集者が読む作中作のミステリ小説『カササギ殺人事件』の中で展開される名探偵アティカス・ピュントの推理が描かれ、“ある事態”をきっかけに予想外の展開となる長編ミステリ作品。アガサ・クリスティへのオマージュ作品でもある本作では、クラシカルな犯人捜しを味わうことができる上に、練り上げられたストーリー展開と張り巡らされた伏線、そして驚きの仕掛けによって、これまでにない挑戦的な作品となっている。

 著者のアンソニー・ホロヴィッツさんは、1955年英国ロンドン生まれの小説家・脚本家。ヤングアダルト作品『女王陛下の少年スパイ!アレックス』シリーズがベストセラーになったほか、人気テレビドラマ『刑事フォイル』『バーナビー警部』の脚本を手掛ける。2014年にはイアン・フレミング財団に依頼されたジェームズ・ボンドシリーズの新作『007 逆襲のトリガー』を執筆している。

 ランキングは、トップ10以外に20位まで発表されているほか、著者インタビューやランクイン作品の魅力を作家や評論家、書店員などが紹介している。

「週刊文春ミステリーベスト10」は、全国の日本推理作家協会会員及びミステリー作家、文芸評論家、書店員、翻訳家、各大学ミステリー研究会などの投票によって選出されるランキング。対象作品は発行日が2017年11月1日から2018年10月31日までで、1位は5点、以下、4点、3点、2点、1点として集計する。今年の国内部門の投票数は199、海外部門は180となった。

Book Bang編集部
2018年12月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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