「悪意によって壊された人生に対峙する『私立探偵』」宮部みゆきの人気シリーズ 最新第5弾がベストセラー

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

 5月11日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、文庫第1位は『己丑の大火 照降町四季(2)』が獲得した。
 第2位は『昨日がなければ明日もない』。第3位は『薬屋のひとりごと(11)』となった。

 2位に初登場の『昨日がなければ明日もない』は宮部みゆきさんの推理小説「杉村三郎シリーズ」の第5弾。広報誌編集者から私立探偵となった主人公が活躍する連作中編集。ごく普通の男性が身近でちょっとした悪意から起こった出来事に直面する内容となっており、今作では“ちょっと困った”女たちに翻弄される三作が収録されている。2013年には「名もなき毒」のタイトルでテレビドラマ化。杉村を演じたのは小泉孝太郎さん。これまで『誰か Somebody』『名もなき毒』『ペテロの葬列』『希望荘』の4冊が文春文庫に収録されている。

 書評家の杉江松恋さんは杉村を「悪意によって壊された人生に対峙する『私立探偵』」と評し、《巻末に置かれた表題作は、読者の胸に重いものを残していくはずだ。若い女性から依頼を受けることになった杉村は、ある人物が心ない振る舞いを続けたためにこじれ切った家族の形を目の当たりにする。それによって彼は人の心を救う難しさを知るのである。不気味に口を開けた人生の陥穽を前に、探偵は立ち尽くす。》と同作を紹介している。

■【杉江松恋さんによる書評全文】宮部みゆき『昨日がなければ明日もない』
https://www.bookbang.jp/review/article/561857

1位『己丑の大火 照降町四季(2)』佐伯泰英[著](文藝春秋)

文政12年3月、神田佐久間町の材木置き場の奥で、消し忘れた小さな火がくすぶり始めていた―― ついに「己丑の大火」が江戸を襲う。 鼻緒挿げの女職人・佳乃と、その弟子の武家・周五郎は、すべてを焼き尽くそうとする火から、照降町を守るべく奮闘する。ご神木の梅の木が燃えようとしたその時、佳乃の決死の行動が、あきらめかけた町人たちを奮い立たせる! 江戸を焼失した大火事のめくるめく光景、町人の心意気が奇跡を呼ぶ、緊迫の第二巻。(文藝春秋ウェブサイトより)

2位『昨日がなければ明日もない』宮部みゆき[著](文藝春秋)

「宮部みゆき流ハードボイルド」杉村三郎シリーズ第5弾。 中篇3本からなる本書のテーマは、「杉村vs.“ちょっと困った”女たち」。 自殺未遂をし消息を絶った主婦、訳ありの家庭の訳ありの新婦、自己中なシングルマザーを相手に、杉村が奮闘します。(文藝春秋ウェブサイトより)

3位『薬屋のひとりごと(11)』日向夏[著]しのとうこ[イラスト](主婦の友インフォス)

シリーズ累計1250万部!! 謎が一気に明らかになる最新巻最速リリース。面白さ絶対保証。怒涛のクライマックスに刮目せよ!(主婦の友インフォスウェブサイトより)

4位『ひとつむぎの手』知念実希人[著](新潮社)

5位『魔力の胎動』東野圭吾[著](KADOKAWA)

6位『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか(17)』大森藤ノ[著]ヤスダスズヒト[イラスト](SBクリエイティブ)

7位『かがみの孤城(上)』辻村深月[著](ポプラ社)

8位『かがみの孤城(下)』辻村深月[著](ポプラ社)

9位『ひと』小野寺史宜[著](祥伝社)

10位『余命3000文字』村崎羯諦[著](小学館)

〈文庫ランキング 5月11日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2021年5月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク