「永続敗戦レジーム」の拒否
[レビュアー] 図書新聞
オビに大きく「『永続敗戦論』の新たな展開!」とある。これだけでも本書を手に取り、読んでみる価値があるというものだろう。本書の目的は、端的にタイトルにあらわれている。まさに「戦後政治を終わらせる」ための指針を描出し、「戦後レジーム」から脱却することである。そのために、敗戦の否認、五五年体制、日米安保体制(この分析は特に出色)、新自由主義などの来歴とその本質が提示される。とりわけ終章「ポスト五五年体制へ」は必読だろう。民主党がダメなら自民党だ、あるいはその逆だ、などと言っている場合ではない。われわれには何ができるのか、そもそもできることが残っているのか。残っている。「永続敗戦レジーム」の拒否、これである。(4・10刊、二七八頁・本体八二〇円・NHK出版新書)