明文堂書店石川松任店「ありふれていない世界を生きる少年少女たちのありふれた想い」【書店員レビュー】

レビュー

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ある日、爆弾がおちてきて 【新装版】

『ある日、爆弾がおちてきて 【新装版】』

著者
古橋 秀之 [著]
出版社
KADOKAWA
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784048928861
発売日
2017/04/25
価格
680円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

明文堂書店石川松任店「ありふれていない世界を生きる少年少女たちのありふれた想い」【書店員レビュー】

[レビュアー] 明文堂書店石川松任店(書店員)

 空から落ちてきた自分の存在を《爆弾》だと語るセーラー服の少女は、《僕》が高校時代に気になっていたクラスメートの広崎ひかりに似ていた。彼女の胸には時計のようなものが埋め込まれてあり、それを彼女は自身の起爆装置だと語る。ドキドキ感が高まると時間が進み、十二時を指すと爆発するらしいのだが……「ある日、爆弾がおちてきて」
 風邪で学校を休んだことをきっかけに図書委員にされてしまった《僕》は、明治時代に建てられた学校自慢のはなれの図書館で気の強そうな幼稚園児くらいの女の子と出会う。トトカミと名乗る彼女は、図書館の神様であった。神様である彼女を祀る禰宜様の役割に任命された《僕》はトトカミサマの周囲のお世話をすることになり……「トトカミじゃ」
 本書は日常からすこし逸れた、ありふれていない世界を生きる少年少女たちのありふれた想いを綴ったSF&ファンタジーの傑作集になっています。軽快なテンポで進んでいくライトな装いの短篇集ですが、深刻なテーマを内包する作品が多い(その深刻なテーマによって軽快さが失われるようなことはないので、安心してください)のが印象的です。既にファンの多い作品だとは思います(本書はかつて電撃文庫で刊行されていたものの、新装版になります)が、もっと多くの人に読まれて欲しい作品です。少年少女として今を生きるきみに、かつて少年少女だったあなたへ、本書をおすすめします。

トーハン e-hon
2017年5月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

トーハン

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