渕書店 BOOKSTORE FUCHI「人類がヒト科を地球から絶やさぬため、必ず読むように!!」【書店員レビュー】

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渕書店 BOOKSTORE FUCHI「人類がヒト科を地球から絶やさぬため、必ず読むように!!」【書店員レビュー】

[レビュアー] 渕書店 BOOKSTORE FUCHI(書店員)

 コンピューター・メーカーで人工知能プロジェクトの一員として働いていたのが著者。その研究から男女の脳を科学的に分析。特徴を明らかにし、取扱説明書(トリセツ)にしてその扱い方を指南したユーモアと毒をあわせ持つ禁断の書。女性は目前にある現象から昔の記憶をすぐに取り出しそれを答えとするとか、男は女より技術や決まったことの精度を高める面があるとか。なぜか?大前提が男女では脳梁という器官の太さが歴然と違うということ。この脳梁、右脳と左脳に脳神経細胞(ニューロン)を連携させる器官。また、信号特性であるそれぞれのホルモンに脳は反応し各々の行動を誘発するという。日常で異性に対して苛立ったり違和感を覚えたりする傾向は科学的根拠に基づいているものであり、そこから「トリセツ」をあぶりだせば、相互理解が深まり、お互いを取り扱うこともできるからというわけだ。「オーブントースターにふっくらごはんを・・(本文)」というようなことを期待するな、と。ー本書が生まれたきっかけは、男女雇用機会均等法が施行されたことにあるらしく、単に雇用条件を平均にするだけでは女性は男性型に作られていた社会に放り込まれるだけで、サバイバルするためには女性脳的なものを捨てざるを得なくなり、結果として社会は少子化に向かうーと、憂慮したことなどにあるよう。男性化する女性脳は本来「猥雑と例外のかたまり」である育児に耐えられないー。ここで付記しておかなければならないのは、本書はある規定において脳の性格を男女に分けて説明しているだけで、男性が必ずしも男性脳のみで、女性はその逆で、活動をしているわけではないと言ってるところ。割り切りなど不可能だと。そこを踏まえて読まないと本書は納得のいかないものとなる。現に著者は同一性障害の人を取り上げ「最強の脳(本文)」かもしれないと洩らす。さらに何も徹底的に合理化されている社会に女性は不向きというわけではなく、女性脳は組織の能力向上のためには必要というようなことも言う。人類が男女間の諍いで人類を絶滅させないために必ず読むようにしたいのが本書であったりなかったりする

トーハン e-hon
2017年10月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

トーハン

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