毎日楽しく過ごすために、「なんのために生きているのか」を自分に質問してみよう

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人生、このままでいいの?

『人生、このままでいいの?』

著者
河田真誠 [著]
出版社
CCCメディアハウス
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784484182261
発売日
2018/08/01
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

毎日楽しく過ごすために、「なんのために生きているのか」を自分に質問してみよう

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

人生、このままでいいの? 最高の未来をつくる11の質問』(河田真誠著、CCCメディアハウス)の著者には、いつも不思議に感じていることがあるのだそうです。

人はみな、「他人を思いやらないといけない」と教えられ、そのように生きてきたはず。なのに、なぜか自分に対してはそれができないということ。多くの人が自分に嘘をつき、自分の気持ちをごまかし、自分を思いやることを忘れて生きているというのです。

人生の主役は自分で、自分をもっとも大切にすべきなのに、まわりを気にしすぎるあまり、自分をないがしろにしてしまっているということ。そして、だからこそ本書に価値があるのだとも主張しています。

この本を手にしたことで、あなたの人生は動き始めるだろう。一番大きな変化は、「自分上手になる」ことだ。素直に自分を大切にし、自分らしい人生を歩み始め、グチや不平不満もなくなり、今までよりも、もっと深いところで、幸せを感じることができるようになるだろう。

といっても、この本には、ありがたい名言が書いてあるわけでも、きらびやかな成功ストーリーが紹介されているわけでもない。ここに書かれているのは「質問」だ。質問には偉大な力がある。僕は質問に答え続けることで、人生を切り開いてきた。よりよい人生を求める中で、道に迷っても後悔ない決断ができたのは、そこに「よい質問」があったからだと信じている。(「はじめに」より)

「質問をする」ことを仕事にしているという、自称「質問家」。企業研修や学校で授業を行い、生き方や考え方、働き方などの悩みや問題を、質問を通して解決に導いているのだといいます。つまり、そのエッセンスを凝縮したのが本書だということ。

きょうは第3章「最高の未来をつくる11の質問」のなかから、05「何のために生きているのだろう?」という質問、そして、そのことに関する著者の考え方に焦点を当ててみましょう。

毎日楽しく過ごすために必要なこと

人生には、2つのタイプがあると著者は言います。やらなくてはいけないことで埋め尽くされた「こなすだけ」の人生と、やりたいことであふれた「創造的な」人生。でも現実的には、「こなすだけ」の毎日を送っている人も少なくないはずです。

気持ちが乗らないのに決まった時刻に起き、ワクワクしない仕事を順番に片づけていく。晩酌やご褒美のスイーツを楽しみにしながら、週末が来るまでやり過ごしていくというように。

もちろん、そういう毎日に心から納得できているのであれば、なにも問題はないでしょう。けれども、どこかに違和感や物足りなさを覚えているのであれば、少し考えたほうがいいかもしれないといいます。

というのも、人生は結局のところ、日々の積み重ねでしかないので、今日をどう過ごすかが、あなたの人生をつくっているからだ。そうであれば、楽しく充実した毎日のほうがいいだろう。(111ページより)

仮に毎日8時間、年間260日働くとすれば、労働時間は年間2080時間。大学を出て定年(仮に60歳とする)までなら、約38年働くことになるわけです。人生のほとんどを働くことに費やしているとも考えられるのに、それが「こなすだけ」のものだったとすれば、果たしてそれを豊かな人生と言えるのかどうかは疑問。

もちろんプライベートを充実させるという発想もあるでしょうが、人生に占める時間の割合が仕事と違いすぎます。だからこそ、できることなら仕事の時間も豊かな気持ちで過ごしたほうがいいのではないかと著者は提案するのです。(110ページより)

毎日をキラキラに変える

では、どうすれば働く時間を、「こなすだけ」のものから「楽しくやりがいのある」ものにすることができるのでしょうか? この問いに対し、まずひとつは好きなことを仕事にすることだと著者は答えています。好きなことをしていれば「こなす」という気持ちにはならず、毎日は楽しさとやりがいに満ちたものになるということ。

しかし、好きなことを仕事にするという話をすると、起こしやすい勘違いがあるので注意したい。それは「楽(ラク)」と「楽しい」は違うということだ。仕事をよりよい時間にするのはいいが、それは「楽」をするためではない。「楽する」とは動かないこと、手間をかけないでいいこと、簡単なこと。「楽しい」とは心が踊ること、ワクワクすること、喜びを感じることだ。(112ページより)

もし単純に楽をしたいのであれば、できるだけ動かない方がいいのかもしれません。毎日ずっとベッドの上にいれば、たしかに楽ではあるのですから。しかし、それが楽しいかといえば、話はまた別でもあります。

なにに楽しみを感じるかは人それぞれなので一概には言えませんが、楽しいことは楽なことではない場合が多いもの。苦しい思いもするけれど、チャレンジし、成し遂げていくなかに本当の楽しさがあるということです。だとすれば、どんな仕事においても、チャレンジすることに楽しさを見出せるようになればいいわけです。

著者はときどき、サラリーマンの方から「毎朝、時間どおりに起きなくていいし、楽そうだから起業しようかな」と言われることがあるといいますが、そんなときには絶対にやめたほうがいいと助言するのだそうです。なぜならそういう人は、会社にいるほうがきっと楽だから。そして、その傘の下で満足できない「楽しい」を見つけることができたら、その時点で起業すればいいというのです。

一方、起業家の方から「仕事の心配もしなくていいし、やることも少ないし、楽そうだからサラリーマンになろうかな」と言われることもあるのだとか。しかし、それについても、やめたほうがいいと答えるのだといいます。理由は、起業家のほうがきっと楽だから。そこで、ひとりではできない「楽しい」が見つかったら、そのタイミングでサラリーマンになればいいということ。「楽」と「楽しい」は違うからこそ、なにかにチャレンジし、成し遂げる喜びを味わってみるべきだという考え方です。

そして、働く時間を楽しいものにするためのもうひとつの方法は、「なんのために」を考えること。毎日の仕事においても人生においても、「やらなくてはならない」ことを「やりたいこと」にするためには、「なんのために」という目的意識を持つことが大切だというのです。

なんのために働き、なんのために生きているのか。そんな「なんのために」の答えが見つかると、楽しさとやりがいが見つかり、「こなすだけ」の毎日がイキイキと輝くものになるということ。そのため、なにかを始めるときには「何のため」を意識してみるべきだといいます。(111ページより)

迷わないために、人生の道しるべを持つ

「なんのために」という目的意識を持つことには、「やらなくてはならない」が「やりたい」になるという以外にも、もうひとつ大きな効果があるのだそうです。それは、人生がブレなくなるということ。

忙しい毎日が続くと、つい足元ばかりを見てしまいがちです。それどころか、気づかないうちに道から逸れてしまうことだってあり得ます。しかし「なんのために」をしっかりと理解していれば、それが道しるべになるものだということ。たとえば実生活においても、「○○タワーを目指す」など具体的な行き先がわかれば、道に迷うことはなくなるわけです。

つまり、迷ったときには「なんのために」に近づくほうを選べばいいということ。逆に言えば、人生や仕事に「なんのために」という目印や判断基準がなければ、ふらふらと人生に迷ってしまうことになってしまいます。だからこそ、よりよい人生を歩むためにも、自分にとっての「なんのために」を見つけることが大切だというのです。(115ページより)

小さな一歩を重ねていこう

「なんのために」と考えることは、とても面倒なことかもしれません。そんな小難しいことを考えなくても、いま、この瞬間を楽しんで生きていくことも可能。実際、著者も若いときはそう思っていたのだそうです。しかし、やがて、それでは得られる幸せがとても少ないということに気づきもしたのだといいます。

仕事がいやなものだとすれば、仕事をしている時間は幸せではなくなります。しかし、それではもったいない。そうではなく、「なんのために」を深め、自分自身が持っているすべての時間を幸せなものに変えるべき。

ただし、「なんのために」を見つけるだけでは不十分。一歩でも「なんのために」に近づく仕事をし、一歩でも「なんのために」に近づく生き方をすることが大切だということです。

自分にできることは微力かもしれないが、どんな偉大なことも誰かの小さな一歩から始まっていく。それは、あなたにとってもみんなにとっても、とても豊かなことだ。(124ページより)

著者のこの言葉は、記憶にとどめておくべきかもしれません。(123ページより)

大学中退や離婚、さらには多額の借金を背負ったりと、著者はさまざまな苦難を乗り越えてきたのだそうです。力強い文体が説得力を感じさせてくれるのも、そんな人生経験があるからこそなのかもしれません。よりよい生き方を見つけるために、読んでみてはいかがでしょうか。

Photo: 印南敦史

メディアジーン lifehacker
2018年8月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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