「所有のない社会」を理想とし、農業を基盤とした共同体で生まれ育った著者の実体験をつづった「カルト村」シリーズ第3弾。お金のやりとりがない村を出て一般社会で就職し、「お金」を手にした著者のとまどい、驚き、感動が丁寧に描かれている。
持つことが許されなかったがゆえに、お金に対する著者の憧れは人一倍強い。大切だからこそ、1円を無駄にせず、きっちり管理し有効に使おうと努力する。その姿勢は「お金が当たり前にある社会」で生きてきた大半の読者にとって逆に新鮮であり、参考にしたくなる生活の知恵も満載だ。(高田かや著、文芸春秋・1000円+税)
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2018年9月2日 掲載
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