ビジネスの成功の鍵を握る「錯覚資産」ってナニ?!

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている

『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』

著者
ふろむだ [著]
出版社
ダイヤモンド社
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784478106341
発売日
2018/08/10
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

ビジネスの成功の鍵を握る「錯覚資産」ってナニ?!

[レビュアー] 田中大輔(某社書店営業)

 のべ数百万人に読まれたブログ「分裂勘違い君劇場」の著者が、実力主義の欺瞞を暴き、「世の中、実力主義になんてなってない」という身も蓋もない現実を踏まえたうえで、成功するにはどうしたらよいのかを書いた本が、発売3カ月で10万部を突破するヒットとなっている。

 運を実力だと錯覚したり、物事が起きてから、それを事前に予測していたと考える傾向があったりと、この世界は「思考の錯覚」で満ち溢れている。しかし「思考の錯覚」に陥っていることに、多くの人は気づけない。なぜなら無意識が、知らないところで、勝手に脳内の書き換えを行っているからだ。ハロー効果というものがある。なにか1点が優れていると、後光がさして、何もかもが優れて見えてしまう錯覚のことだ。こういった「思考の錯覚」が、実は人生の重要な選択や、組織内における人事、意思決定において、大きな影響を及ぼしている。その錯覚をうまく利用することで、人生を切り開いていく方法がこの本には書かれている。

「人々が自分に対して持っている、自分に都合のいい思考の錯覚」を「錯覚資産」とこの本では呼んでいる。この錯覚資産が人生を大きく左右するという。企業は、実力のある人間を採用し、いいポジションにつけているつもりだが、実際には、ほとんどの場合、錯覚資産の大きい人間を採用し、いいポジションにつけているそうだ。実力があるから、よいポジションが手に入るのではなく、「実力があると周囲が錯覚する」から、よいポジションが手に入るのである。さらに錯覚資産があることで、成長するのによい環境が手に入り、よい環境によって実力が育つ。そして実力がつくことで、更なる成果を生み出す。その成果によって、より大きな錯覚資産が手に入るというループの結果、実力と錯覚資産は複利で増えていくというのだ。

 ほとんどの人は、「実力」が成功の鍵だと思っているが、実際には「実力」よりも、「錯覚資産」と「運」が成功の鍵を握っているのだ。錯覚資産を増やすということを意識するだけで、人より成功する可能性が高まるに違いない。

新潮社 週刊新潮
2018年11月29日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク