早くも今年のベストビジネス書は“FACTFULNESS”で決まり?

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FACTFULNESS(ファクトフルネス)

『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』

著者
ハンス・ロスリング [著]/オーラ・ロスリング [著]/アンナ・ロスリング・ロンランド [著]/上杉 周作 [訳]/関 美和 [訳]
出版社
日経BP
ジャンル
社会科学/経済・財政・統計
ISBN
9784822289607
発売日
2019/01/12
価格
1,944円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

世界に対する誤解を生む誰もが持つ10の本能への対処法

[レビュアー] 田中大輔(某社書店営業)

 2月にして今年のベストビジネス書はこれで決まりじゃないか?という本に出会ってしまった。間違いなく今年読むべき一冊である。ファクトフルネスとは事実に基づいて世界を見ることだ。この本を読むと自分の世界に対する認識がいかに遅れているのか?を痛感させられる。皆さんの世界に対する認識も数十年前のままで止まってはいないだろうか?

「世界では戦争、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている。金持ちはより一層金持ちになり、貧乏人はより一層貧乏になり、貧困は増え続ける一方だ。何もしなければ天然資源ももうすぐ尽きてしまう」というような先入観を持っている人も多いと思う。こういったドラマチックすぎる世界の見方が間違っていることをこの本は提示している。

 世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年間で半分に減少し、世界の平均寿命は約70歳で100年前よりも30歳以上延びている。このように世界はどんどん良くなっているのに、世界に対して人々は大きな誤解をしている。その原因は誰もが持っている10の本能にあるという。

 たとえば「分断本能」。人は「私たち」と「あの人たち」というように、重なり合わない二つのグループに分ける傾向にある。実際にはそこに分断はなく、誰もいないと思われている中間部分に大半の人がいる。本書では四つのグループに分けることで世界を正しくとらえるということを提案している。「直線本能」にも注意が必要だ。グラフはまっすぐになるという思い込みは捨てたほうがいい。また、見えているのはグラフのどの部分なのか?ということも意識すべきだろう。

 その他にも「ネガティブ本能」「恐怖本能」「過大視本能」「焦り本能」といった様々なバイアスと、その対処法が紹介されている。重要なのは情報を批判的に見ることと同様に、自分自身を批判的に見ることだ。自分を含め総ての人がそういった本能に支配されているということを意識し、ファクトフルネスを習慣化すれば、きっと世界はいまよりも良いものになっていくはずだ。

新潮社 週刊新潮
2019年3月7日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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