喜びは長続きしない。ではどうする? できる人が実践する人生のルール

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喜びは長続きしない。ではどうする? できる人が実践する人生のルール

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

できる人の人生のルール[新版]』(リチャード・テンプラー 著、桜田直美 訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、英国で累計80万部、英語版だけでも世界で170万部のベストセラーとなっている“Rules””シリーズ代表作の新装版。

このシリーズに関しては、過去にも『できる人の自分を超える方法』『できる人のお金の増やし方』『できる人の仕事のしかた新版』をご紹介したことがあります。

ちなみに著者は、旅行代理店、スーパーマーケットチェーン、レストラン、カジノ、大学自治会など幅広い分野で30年を超えるマネジャー経験を持ち2003年に出版社White Ladder Pressを創設した人物。

わずか4年で同社を「イギリスで最も成功した出版社」と呼ばれるまでに育て上げたことで知られています。

4年ぶりにリニューアルされ、デザインも新しくなった新版の最大の特徴は、新たに第5章が追加されたこと。

そこで今回は、「幸福な時間を増やす10のルール」というタイトルがつけられたその章からいくつかを抜き出してみたいと思います。

人生を長い目で見る

喜びというものは、長続きしないようにできていると著者は記しています。

そういわれると、なんとなく残念だなと思いたくもなりますが、むしろ、そうでなければ困るというのです。

喜びの絶頂が永遠に続くと想像してみよう。なんのメリハリもない人生だ。その状態が普通になれば、楽しさもワクワクも感じられなくなってしまう。

喜びを感じるには、うまくいかない日も必要なのだ。(230ページより)

うまくいかない日が数カ月、一年と続いたとしたら不安にもなることでしょう。

しかし、たとえ最悪の状況であったとしても、支えてくれる人がいれば、そこまでひどいことにはならないもの。

少なくとも自分が手に入れていることに感謝し、やるべきことや楽しめることがあるのだとしたら、不幸のどん底に落ちることはないはずです。

そしていちばん大切なのは、目の前の状況だけで幸福度を判断せず「長い目で見る」こと。「いま、私は幸せか?」ではなく、「私の人生は幸せか?」と考えるべきだということです。

あるいは、「私の人生に幸せを感じられる要素はあるだろうか?」という質問でもOK。

ここ2、3年を振り返って人生全体について考え、これから向かう先に目を向けることが大切であるわけです。

なぜならそうすれば、きょう一日が悪いことばかりだったとしても、長い目で見ればそんなに悪くないと気づくことができるから。

「ただ幸せな人生に、一日だけ悪い日があったというだけの話だ」という考え方です。

幸せは、その気になりさえすれば誰もが手に入れられるものだと著者はいいます。

もちろん努力は必要かもしれませんが、幸せを手にするためにする努力ほど有意義なものはないはずだとも。(230ページより)

自分が得意なことをする

得意なこと、心から楽しめることをしていれば、自信、自尊心、喜び、情熱、前向きな気持ち、その他あらゆるポジティブな要素が自然と人生に流れ込んでくるものだといいます。

さほど好きになれない仕事をしていたとしても、きちんとした仕事をすることなら可能であるはず。

「つまらないけれどお金のためだから仕方がない」というたぐいの仕事であっても、手を抜くのと全力を出すのとでは、得られる喜びや達成感はまるで違うわけです。

そこで、いまの仕事が辞められないのであれば、せめて自分の最高の力を出すようにしようと著者は提案しています。いうまでもなく、そうしたほうが、はるかに幸せになれるからです。

それに、趣味、家事、家族、ボランティア、スポーツなど、人生には仕事以外にもたくさんのことがあります。

大切なのは、そこでも心から没頭できることをして、本物の達成感を味わうこと。

ただし、それは「苦手なことは絶対にするな」という意味ではないそうです。たとえプロのピアニストでも、最初からうまく弾けたわけではありません。

懸命に練習したから弾けるようになったわけで、得意なことしかやらなかったとしたら、なにも学ぶことができないのです。

「自分はうまくやっている」という感覚には大きなセラピー効果がある。 見事なプレゼンで聴衆を感心させる。カワウソのように自由自在に泳ぎ回る。子供の恐怖心を自信に変えさせてあげる。実物より美しく夕日の写真を撮る。患者を勇気づけ、安心させる。家族が大喜びするケーキを焼くーー

「自分はこれが得意だ」と確信して作業に没頭するのは、人生でもっとも美しい体験のひとつだ。多くの人は、まさにその瞬間に最高の幸せを感じている。(233ページより)

だから、毎日、得意なことに取り組むべきだということ。

それどころか、得意なことをすることを、習慣にすればいいのです。そうすることで、人生の幸福度が確実に向上するから。(232ページより)

「うれしかったこと」を毎日振り返る

人間は単純な生き物なので、「幸せだ」と何度も自分に言い聞かせれば、自分は幸せだと信じるようになるもの。

もちろん、時間はかかるでしょうし、簡単ではないかもしれません。

しかも1日に10回「幸せだ」と言い聞かせたとしても、その一方で「自分は不幸だと」20回言い聞かせていたとしたら、いつしか「自分は不幸だ」のほうを信じてしまうことになるかもしれません。

けれど本気で挑戦すれば、結果は必ずついてくるというのです。

忘れるべきでないのは、どんなにつらい環境にあったとしても、人生を楽しみ、笑顔で暮らしている人は存在するということ

そういう人たちは「自分は幸せだ」と信じることを自分で選んでいるわけで、そう考えると、幸せとは心のあり方であることがわかります。

幸せだと信じれば気分がよくなり、幸せになれるということで、そう思えるように自分を誘導することが大切なのです。

私が学んだ強力なテクニックを紹介しよう。これをやると必ず気分がよくなる。 その方法とは、毎晩、「今日、うれしかったこと、楽しかったことは何があっただろう?」と自分に質問するという方法だ。

ネガティブな出来事は一切無視だ。思い出すのは、うれしかったことと楽しかったことだけ。“レジの人の感じがよかった”“寒い日にコーヒーを飲んでほっとした”など、どんなに小さな出来事でもいい。最悪の一日であっても必ず何か見つかるはずだ。 身近な人に話を聞いてもらうと、なおいいだろう。

話したい人がそばにいないなら、話しているつもりになるだけでもいい。話を聞いてもらうと、客観的な視点が手に入るので、自分の幸せをさらに信じられるようになる。(239ページより)

いい気分で眠りにつき、いい気分で目覚めるためには、これ以上の方法はないそうです。(238ページより)

これまでの著作と同様に、一項目一見開きで簡潔にまとめられた内容。

どこからでも読むことができるので、気分転換をしたいときなどにページをめくってみれば、意外な発見があるかもしれません。

Photo: 印南敦史

Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン

メディアジーン lifehacker
2019年9月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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