『料理家 村上祥子式 78歳のひとり暮らし ちゃんと食べる! 好きなことをする!』
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【聞きたい。】村上祥子さん 『料理家 村上祥子式 78歳のひとり暮らし』
[文] 平沢裕子
■手抜きでいい、ちゃんと食べて
著者は「電子レンジ料理」の第一人者。本書は著者の生き方、家族、おひとりさまの日常をつづったエッセーだ。
「社宅に暮らす主婦から料理研究家になって50年。私を取り巻く環境は変わったが、料理への情熱は変わっていない。素のままの私を伝えることで、みなさんの参考にしてもらえれば」
モットーは「ちゃんと食べて、ちゃんと生きる」。この考えにいたったのは、30代であごの骨髄炎を患い、10回の手術で抜歯18本、4年にわたる闘病生活を送ったのがきっかけだ。「華やかなごちそうよりも、堅実な食生活が大切」を身をもって知り、食べる意味とシンプルな生活に目覚めた。
研究を続ける電子レンジ料理は糖尿病患者の栄養指導で思いついた。糖尿病治療食は摂取カロリー制限があり、油を使う料理はカロリーオーバーになることが多い。電子レンジを使えば油なしで肉じゃがやカレーもおいしくでき、しかも簡単で洗い物も少ないといいことずくめだ。「手抜き」「電磁波が心配」と電子レンジ料理に否定的な時代もあったが、この数年は火事の心配がなく1人分の料理がおいしくできると、シニア向け電子レンジ料理が注目を集めている。
頼もしいパートナーだった夫の啓助さんを6年前に見送り、自身も福岡県でシニアの1人暮らし。毎日、電子レンジで1人分の料理を作っては食べている。
まもなく迎える80代に向け、ランチを提供する「村上食堂」のオープンと、世界のおばあちゃんを取材してお菓子の作り方をまとめた本を出すのが夢だ。
「好きなことを続けるために、私もちゃんと食べ続けています。ご自身の体を更新するために、みなさんもちゃんと食べてください。手抜きでいいんです。電子レンジでチンとやったら、きれいなお皿に並べて召し上がれ」(集英社・1600円+税)
平沢裕子
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【プロフィル】村上祥子
むらかみ・さちこ 昭和17年、福岡県生まれ。管理栄養士。福岡女子大客員教授。出版した料理本は500冊以上。シニアの料理教室や子供の食育授業にも力を入れている。