【聞きたい。】山根精一郎さん 『もしもがんを予防できる野菜があったら』

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もしもがんを予防できる野菜があったら 「遺伝子組み換え食品」が世界を救う

『もしもがんを予防できる野菜があったら 「遺伝子組み換え食品」が世界を救う』

著者
山根 精一郎 [著]
出版社
幻冬舎
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784344038974
発売日
2022/02/24
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【聞きたい。】山根精一郎さん 『もしもがんを予防できる野菜があったら』

[文] 平沢裕子

■「すごい技術、知って活用を」


山根精一郎さん

遺伝子組み換え(GM)作物は、日本で多くの食用油やしょうゆに含まれているとみられる。

「多くの人が口にしている。それなのに、不安に思う人は少なくない。この現状をなんとかしたかった」

こう話す著者は、GM作物の開発でパイオニア的存在だった多国籍バイテク企業、モンサント(2018年に独・バイエルと統合)の日本法人、日本モンサントで、GM技術研究の第一人者として活躍してきた研究者だ。

1996年に商業栽培が始まったGM作物は、日本でも年間約2千万トンが輸入されている。しかし、消費者庁の意識調査では約4割がGM食品について「不安」と回答、消費者の拒否感は依然強い。

「ネット上ではGM食品への不安をあおるような情報も少なくなく、それゆえに不安に思う人が多いのだろう。そうした情報を目にしたときに大事なのは何が真実なのか自分の頭で考える力だ。データに基づき総合的に良しあしを判断する〝科学者の心〟を持って情報を見極めてほしい」

タイトルにある「がんを予防できる野菜」は、発がん性物質のアクリルアミドを減らしたジャガイモや抗酸化力を高めたトマトなどで、GM技術を使って開発が進められている。

スギ花粉症の症状の緩和・改善に有効な「スギ花粉米」や、ビタミンA欠乏症の改善に役立つ「ゴールデンライス」などGMイネは実用化まであと一歩のところ。温室効果ガスを減らす「不耕起栽培」や、地球温暖化が進行しても収穫量を落とさずに済む高温耐性の作物など、持続可能な社会に向けてもGM技術の活用は欠かせないという。

「GMは人間が知恵を絞ってできたすごい技術。日本ではいまだに商業栽培ができない状況だが、本書で多くの人にすごさを知ってもらい、活用できるようになってほしい」(幻冬舎・1650円)

平沢裕子

   ◇

【プロフィル】山根精一郎

やまね・せいいちろう 農業コンサルティング会社「アグリシーズ」社長。昭和22年、東京都生まれ。東京大大学院で植物病理学専攻。農学博士。日本モンサントでは平成14年から29年まで社長。

産経新聞
2022年4月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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