人間関係がラクになる、つき合いづらい「めんどくさい人」への対処法

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

人間関係がラクになる、つき合いづらい「めんどくさい人」への対処法

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

どんなところにも、「つき合うのが難しい人」がいるもの。

なにを言っても悪く解釈したり、すぐに怒るなどタイプはさまざまですが、そういう人が同じ会社や隣近所にいる場合は、どうつき合ったたらいいのかと悩むことになってしまうかもしれません。

そこでご紹介したいのが、『めんどくさい人の取扱説明書』(内藤誼人 著、きずな出版)。

めんどうな人とのつき合いが避けてとおれないことのほうが多いことを考えると、そういう人とのつき合い方も真剣に考えておかなければならない。

そのためのマニュアル(取扱説明書)として、本書をぜひ利用していただきたい。

また、かりに現在のところ、人間関係にはあまりこまっていない人でも、将来もずっとそれがつづくかどうかはわからない。 何年かあとに、ものすごくつき合うのにめんどくさい人に出会ってしまうかもしれない。

そんなときのために、あらかじめ「傾向と対策」を練っておくことも、けっして悪いことではないだろう。

そんな人にも、本書は役に立つことを保証しよう。(「まえがき めんどくさい人との接し方には『勘どころ』がある」より)

著者によれば、細かいところは少しずつ異なるにしても、「めんどうな人」はおよそ58のタイプに分類することができるのだそうです。そこで本書ではそんな58のタイプを取り上げ、それぞれのタイプの人に対して、同様なつき合い方をするのが適切なのかを紹介しているわけです。

きょうはPART 1「めんどくさい人はほっとこう」に焦点を当て、どこにでもいそうなタイプの人への2つの対処法をご紹介したいと思います。

すぐに怒る人

・大声でどなる

・机を叩いたりする

・たぶん自分をコントロールできていない

すぐ感情的になり、声を荒げるような人がいます。

声が大きいことも多いだけに、そんな人を前にすると思わず身がすくみ、恐怖を感じるかもしれません。

しかし、そういうタイプの人とのつき合い方は、実は難しくはないのだと著者は言います。

まず、基本的な戦術は、「売り言葉に買い言葉」で、相手に言い返そうとしたりはしないこと。

怒りっぽい人は、反論されることをものすごくイヤがる。

それに、反論などをしようとすると、よけいに相手の怒りに火をつけてしまうことになるので、まずはおとなしく相手の言い分に耳をかたむけてみよう。(14〜15ページより)

私たちの「怒りの感情」は、なにもしなければ2分ほどでおさまるのだとか。

米アイオワ州立大学のブラッド・ブッシュマン氏は、たとえ怒りの感情が沸き起こっても、なにもせずに2分間、ただ座っているだけで怒りの感情が消せることを実験的に確認しているのだそうです。

したがって怒っている人に対しては、なにもせずに2分間はそっとしておいてあげればよいということ。

「でも、私の知り合いの怒りっぽい人は、何十分でも怒っているんですよ」と主張したくなる人もいるでしょうが、それは違うのだと著者。

もし相手が何十分も怒っているのだとしたら、その場合はこちらの態度が問題だということ。

ふてくされた態度をとったり、反省していない顔をしてみたり、言い返そうとしたりするから、相手の怒りがいつまでも続くのだそう。

つまりは相手を怒らせるようにこちらが挑発しているのが原因で、なにもしなければ、本当は2分で怒りを収めてくれるはずだというわけです。

もちろん怒られれば気分はよくないでしょうが、そんな気持ちを飲み込んで、できるだけ無表情を保ち、じっと相手を見つめながら2分ほど相手の話を聞いてあげることが大切。

そしてその2分間には、「しかしね…」「あなたはそう言うけど」などと反論するべからず。ただただじっと聞けば、2分後には相手は平静さを取り戻してくれるということです。

したがって、どうしてもなにか言い返したいのであれば、せめて2分後にするべき。

そのころには相手も少しは落ち着きを取り戻しているはずなので、こちらの言い分も少しは聞いてくれる可能性があるからです。

大抵の人は、2分間の我慢ができずに、つい口答えをしてしまうもの。そのためお互いにどんどんヒートアップして、収拾がつかなくなってしまうのです。

だからこそ2分間は我慢し、まずは相手の言い分を聞いてみるべき。自分の意見や感想、反論は、そのあとにするべきだということです。(14ページより)

発言がコロコロ変わる人

・そのときの自分を正当化しがち

・思いつきだけでものをいう

・本人に悪気はなさそう

世の中には、その時々でいうことがコロコロ変わる人がいるものです。

しかし、そういう人に出会っても、決して腹を立ててはいけないと著者は念を押しています。簡単なことで、本人は自分のいうことが変わったなどとはまったく思っていない場合が多いから。

そもそも、忘れるようにできているのが人間です。

著者によれば米インディアナ大学のロイド・ピーターソン氏は、さまざまな文字列を記憶させるという実験をした結果、約20秒以内(正確には18秒以内)に、85%のものを忘れてしまうことを確認しているのだそうです。

人間はもともと忘れっぽいものなのだから、目くじらを立てて怒ってはいけない。「人間の記憶って、そういうものだよな」と割り切って考えたほうが、こちらもイライラせずにすむ。(19ページより)

とはいえ、上司の指示などがその日ごとにコロコロ変わったとしたら、部下としては困るものでもあります。

そこで、言うことがコロコロ変わる人を相手にする場合は、「記憶」ではなく「記録」によって対処すべき。

たとえば上司から指示が出たときには必ずメモをとっておき、それを上司に見せて「こう言う理解でよろしいでしょうか?」と確認しておくわけです。

そうすれば、仮に翌日になってまったく違う指示を出されたとしても、「昨日は、このメモのような指示だったのですが」とメモを見せて確認できるわけです。

なお注文の仕様をコロコロと変えてくるクライアントに対応するときは、やりとりではなくメールがいいそう。

電話だと記録は残せませんが、メールならすべて記録に残せるからです。(18ページより)

Source: きずな出版

Photo: 印南敦史

メディアジーン lifehacker
2020年10月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク