『野呂邦暢ミステリ集成』
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【気になる!】文庫『野呂邦暢(くにのぶ)ミステリ集成』
[レビュアー] 産経新聞社
広告代理店に勤める隆一は、取材先の島で失踪後、溺死した友人のカメラマンの足跡をたどるが、島を歩きまわるうち、何者かに監禁される(「失踪者」)。
引っ越し先の部屋で見つけた絵に、ある記憶を揺さぶられる男の苦悩(「もうひとつの絵」)、初めて会ったはずだが、「直感的に胸もむかつくほどの嫌悪感」を覚える「いやなやつ」とは(「敵」)…。
長崎・諫早に根をおろして活動し、昭和49年の芥川賞受賞後わずか6年で早世した作家のミステリー中短編8編と、関連エッセーを編んだ。没後40年、作品世界の一端に触れる機会に。(野呂邦暢著、中公文庫・1000円+税)