世界のトップリーダーを魅了する「コンシャスネス」を学ぶと得られる3つの利点
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
本書は、皆様の人生の旅をサポートする「道しるべ」として使用してください。
あなたが人生を歩んでいく途中で、つまずいてしまったときや、苦悩に陥ってしまったときなど、必要なときに再度確認してみてください。
この本で紹介している知恵は、そのときのあなたの「道しるべ」となって、進むべき方向を示してくれるはずです。
そして、以前は分からなかったことでも、経験を積んだ後の自分が読むことで、初めて大きな気づきを得ることができます。(「はじめに」より)
『世界のエリートが実践する 心を磨く11のレッスン』(ナミ・バーデン、河合克仁、クリシャナラジ 著、サンガ)の「本書の使い方」には、このように書かれています。
テーマになっている「コンシャスネス」とは、直訳すると「意識」。
日本ではまだ耳慣れないものの、グローバルレベルでは大きな人気を誇っており、多くのトップリーダーたちの共感を得ているのだとか。
「心のあり方を学ぶものであり、体感を通して自分自身と世界のあり方の本質を知ること」だと頭に入れておいてほしいと著者は記しています。
完全に頭だけで理解しようと意気込むのではなく、「このような考え方があるのか」くらいの気楽さで読み進めてほしいとも。
ちなみにコンシャスネスを学ぶことには、3つの利点があるのだそうです。
まずは、過去の傷を癒せるということ。
次に、「いまここ」に意識を持ってきて、「いまを生きる」ことができるようになること。
そして、「すべてはひとつ」という壮大なコンシャスネスの本質を知り、多大な安心感を得ることができるという点。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
1. 過去の傷を癒すことができる〜The Gift of Inner Healing
信頼していた人から騙されたとか、お金を貸したのに返してもらえなかったなど、つらい経験をすることは誰にでもあるもの、そんなとき私たちはショックを受け、傷つくことになります。
さらには心のなかに、ドロドロとしたネガティブな感情が生まれてくることにもなるかもしれません。
「騙された」ことに対する心の傷を癒さずにいると、人を信じるのが怖くなり、仕事上でも信頼関係を築いていくことが難しくなる可能性も。
結果的には「二度と騙されないぞ」とガードも固くなり、ディフェンス(守り)の姿勢で仕事をしていくことになるでしょう。
あるいは自分が傷つかないように、深い友人関係をつくることすら避けることも考えられます。その結果、がんじがらめになってしまい、行動範囲は狭まって、飛躍できない状態になってしまうわけです。
一方、過去の傷を癒すということは、過去の嫌な記憶から解き放たれ、「苦悩の状態」から解放されるということ。
すなわちディフェンスのスタンスで生きていくのではなく、自分の夢に向かって飛躍していけるということ。
世界をありのままの姿として見ることができるため視野が広がり、過去の経験を自身の知恵として生かすことができるようになるわけです。
コンシャスネスの学びでは、自分と向き合うことを大切にします。
過去に傷ついた経験を持つ人の中には、自分と向き合うことを「過去の苦悩を掘り起こす」ことだと思ってしまう人もいるかもしれません。
でも、そのようなことはありません。
苦悩を掘り起こして、さらに苦しみ続けるというプロセスではないのです。
実際には、コンシャスネスの知恵を用いて自分の心と向き合うことで、過去と現在の苦悩を解消することができるのです。(51〜52ページより)
過去の経験に引きずられたつらい生き方から抜け出すには、まずコンシャスネスの学びをもとに、自分と向き合う練習をしていくべきだというのです。
なぜなら自分と向き合い、気づきを得て、過去の傷を癒すことができると、自然と自分の素晴らしい面を発揮して、さらに飛躍できるようになるから。(50ページより)
2. 「いま」を生きることができるようになる〜The Gift of Presence
マインドは、人類にとって最大の贈り物であり、最大のチャレンジ。
ただし、完全に「いま」に意識を持ってきて、そのままずっと生きていくことは困難でもあります。私たちのマインドは気がつかないうちに、どこか他のところへ行ってしまうものだから。
どんどん情報を詰め込み、マルチタスクをこなしていると、頭のなかはさまざまな思考でごちゃごちゃになってしまうものでもあります。
大量の情報をマインドに入れ続け、いらない情報や不必要な思考や感情をそのままにしてしまうため、頭のなかがパンク寸前になってしまうわけです。
しかし、それでは集中できるはずもありません。「いまここ」に意識を持ってこようとしても、すぐに「過去」や「未来」に意識が飛んでしまうのです。
自分の意識を「今ここ」に持ってくるためには、もっと根本的なところから見ていく必要があります。
「今ここ」に意識を持ってくることができない理由は、自分の心の中に苦悩の思考や感情が渦巻いているからです。
「苦悩の状態」になると、人の意識は「過去」か「未来」へ行きます。
しかし、苦悩を解消し心の癒しを得て「美しい心の状態」になると、自然と「今ここ」に意識を持ってくることができるようになります。(55ページより)
コンシャスネスの知恵を学び、同時にメディテーションを行うことで、苦悩が解消され、いらない情報や、頭のなかのごちゃごちゃとした思考や感情が鎮まるといいます。
ネガティブな感情が解消され、心のなかにまっすぐな芯を持つことができるため、「いまここ」に意識を置けるようになるわけです。(53ページより)
3. 超越した経験と、新たな世界観を得る〜The Gift of Transcendence
私たちは際限のないコンシャスネスであるにもかかわらず、そのことに気づかず、制限された身体の観点で物事を捉えているのだそうです。
性別、学歴、キャリア、思考、感情、記憶、文化、社会、宗教、国境などの枠に縛られたまま物事を捉えてしまっているということ。
しかし私たちは、コンシャスネスの学びを進めることで、限られた存在を超えて、言葉では言い表せない壮大な存在を垣間見ることがあります。
際限のない幸福な性質のコンシャスネスを、ほんの少しだけ経験することができるのです。
このエゴセルフを超えて、際限のないフィールドを垣間見ることを「トランセンデンス(超越する)」と言います。(56ページより)
トランセンデンスの経験ははかなく、永遠には続かないもの。しかしそんな経験をすることで、自分がいかに狭い世界観で物事を捉えていたかを知ることができるそうです。
そして、そんな経験をもとにコンシャスネスの学びをさらに高め、心を磨いていくことも可能。
知恵を学び、気づきを得て、自分と他人に対して思いやりの心を育むことができるようになり、「すべてはひとつ」であることを理解できるようになるというのです。
なお、この「すべてはひとつ」とは、身体のリミットを超え、自分も含め、空気も物質も、地球も宇宙も「すべてはひとつ」という観念だといいます。(55ページより)
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こうして確認してみただけでも、コンシャスネスの壮大な世界観をイメージすることができるのではないでしょうか? けれど、ここはまだ入り口にすぎないようです。
その証拠に、本書を読み進めていけば、さらに奥深い概念を実感できるはず。そして、それはきっと日常生活を豊かなものにする手助けをしてくれることでしょう。
Source: サンガ
Photo: 印南敦史