「岩井勇気の実写化」は成田凌で決まり!? ジェーン・スーとハライチ・岩井が日常系エッセイを語り尽くす

対談・鼎談

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どうやら僕の日常生活はまちがっている

『どうやら僕の日常生活はまちがっている』

著者
岩井 勇気 [著]
出版社
新潮社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784103528821
発売日
2021/09/28
価格
1,375円(税込)

書籍情報:openBD

岩井勇気×ジェーン・スー・対談「エッセイを書くことの“出口”って?」

[文] 新潮社


岩井勇気さんとジェーン・スーさん

岩井勇気×ジェーン・スー・対談「エッセイを書くことの“出口”って?」

10万部を突破したデビュー作から2年、お笑いコンビ・ハライチの岩井勇気さんの第2弾エッセイ集『どうやら僕の日常生活はまちがっている』が刊行されました。芸人以外にゲームの原作・プロデュース、漫画の原作、俳優など多彩な才能を発揮している岩井さんですが、岩井さんたっての希望で、コラムニスト、ラジオパーソナリティ、作詞家と、同じく幅広い分野で活躍されるジェーン・スーさんとの初対談が実現! 推し活から死生観、エッセイの地位への憤りと成田凌さんのことまで、話題は多岐にわたりました。

日常系エッセイはつらいよ

スー 4月に私のラジオ番組にゲスト出演して下さった際、美味しい海苔弁を紹介してくれて。あの後、リスナーがこぞって買いに行ってました。

岩井 「何か生活情報を」とリクエストされて絞り出した話だったので、喜んで頂けてありがたかったです。

スー 「旨い! なにこの貴族の海苔弁!」って、あの時はほとんどお弁当の話しかしなかったので(笑)、今日はゆっくりお話しできるのを楽しみにしていました。海苔弁の他にコープの冷凍オムライスも持ってきて下さって、あれも美味しかった~!

岩井 実家の母親が時々、僕の一人暮らしの家に食料や生活用品を届けてくれるのですが、その中に必ず入っているんです。

スー 1冊目に続き今作でも、お母さまとのエピソードが光ってますね。「珪藻土バスマットをめぐる母との攻防」なんて最高で、お母さまからの「卑怯者」という一言や徐々に恋人同士の喧嘩みたいになっていく濃密なやり取りが、私は母を早くに亡くしていることもあって羨ましくさえありました。

岩井 母親は1冊目のときから結構ネタを提供してくれるので助かってます。

スー それにしても、デビュー作が10万部を突破されたそうで、エッセイ集でいきなり10万部ってすごいです。

岩井 20刷りを目指していたら、19刷りまできたみたいです。

スー え、19刷り!? どれだけ刻むんだ、新潮社!

岩井 “牛歩刷り”って呼んでます。

スー もはやそれは「売り逃がし」と同じではないか……。これに関しては私の担当者も耳が痛いだろうな(笑)。

岩井 スーさんはエッセイの連載をたくさんされているんですよね?

スー 今は7、8本かな。

岩井 すごいですね。それだけ同時にやられていると「今月は書くことないな」ってなりませんか?

スー もちろんなります。岩井さんと同じで私も日常系のエッセイを書いているので、出掛けるのも集まるのも厳しくなった現在、特に難しいです。

岩井 僕も苦し紛れに幼少期のことを書くと、書けはするのですが、自分の中のストックがどんどん減っていく感じがして怖くなりました。それに、「普通のことしか書いてないけどいいのか……」と、いまも書きながらずっと照れています。

スー 職業病でしょうか。常に笑わせないといけないって考えてしまう。

岩井 最初は数行に一回は波風立たせようとしていたのですが、担当者から「小手先の笑いはいりません」と注意されて以来、やめました。

スー これだけ娯楽のジャンルが増えた今、小説ならまだしも、わざわざエッセイを読む必要って正直ないと思うんです。そういうなかで岩井さんのエッセイは「芸能人の日常」ではなくて、ただの35歳一人暮らしの男性の生活が描かれているところが、多くの読者を惹きつけているのではないかと。「わかるわかる!」って共感できるところが素晴らしいですよね。

岩井 ありがとうございます。「あるある」は意識して入れています。

スー それに、癒しと言うと下品だけれど、くすりと笑えて気持ちがほぐれるって良いエッセイの必要条件だなと改めて感じました。この「くすり」の加減がすごく大事なわけですが、自分の単行本の加筆修正をしている最中なこともあり、岩井さんの「くすり笑い」、参考にさせて頂きます(笑)。

新潮社 波
2021年10月号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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