『マル暴』
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【気になる!】新書『マル暴 警視庁暴力団担当刑事』
[レビュアー] 産経新聞社
警察や暴力団に関する本は数あれど、警視庁で40年近く暴力団担当刑事「マル暴」を務めた当事者が捜査の内幕を明かすのは珍しい。本書で触れた事件は、組織の内部対立による殺人から老舗ホテルを舞台にした詐欺までさまざま。暴力団が今も社会に広く巣くっていることの裏返しだ。
ミイラ取りがミイラにならぬよう、といって蚊帳の外ともならぬよう。ヤクザの情報を得るためのギリギリの判断を、豊富なエピソードで回顧。最終章では勇気を出して組を抜けた者の窮状に目を向ける。その目線こそが、著者の微妙な立場を支えた芯なのだろう。(櫻井裕一著、小学館新書・946円)