古い営業スタイルから、脱皮できるかどうかを決める重要な鍵は?

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NEW SALES

『NEW SALES』

著者
麻野 耕司 [著]
出版社
ダイヤモンド社
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784478112670
発売日
2022/06/09
価格
1,980円(税込)

書籍情報:openBD

古い営業スタイルから、脱皮できるかどうかを決める重要な鍵は?

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

「いま、『モノの売り方』が大きく変わろうとしている」と指摘するのは、『NEW SALES 新時代の営業に必要な7つの原則』(麻野耕司 著、ダイヤモンド社)の著者。本書において、これまでの古い売り方を「OLD SALES」、これからの新しい売り方を「NEW SALES」と定義しているのも、そんな思いがあるから。

「OLD SALES」のまま脱皮できない企業と人は取り残されてしまうと確信しているというのです。営業にはいま、大きな改革が必要なのだとも。

現在、日本企業の営業の生産性は極めて低い状況にあります。ある調査によると、日本企業の営業ROI(投資利益率)は、ほぼ全業種で国際水準と比べて低いことが分かっています。

個人の仕事においても、営業の満足度は極めて低い状況です。ある調査では企画職や技術職、事務職よりも仕事満足度のランキングが低くなっています。

営業という仕事が「OLD SALES」に留まっているから、労働生産性や仕事の満足度も低いままなのでしょう。(「Prologue 『NEW SALES』の時代」より)

だからこそ重要なのは、「OLD SALES」から「NEW SALES」へ生まれ変わること。そうすることさえできれば、企業や個人の様々な課題が解消できるのだといいます。

営業が変われば、企業の生産性が変わる。

営業が変われば、個人の満足度が変わる。

営業という仕事を生まれ変わらせて、企業に成長を、個人にやりがいを届けることーー。(「Prologue 『NEW SALES』の時代」より)

これが本書の究極の目的であり、それを実現するための「NEW SALES」のメソッドを紹介することが本書の目的。Chapter 1[STORY]「『商品』ではなく『物語』を売る」に注目し、「NEW SALES」と「OLD SALES」との違いを探ってみたいと思います。

【OLD SALES】営業とは「商品」を売り込む仕事

かつて、営業という仕事のおもな役割は、自社の商品やサービスの機能や性能に関する情報を顧客に提供することでした。たとえば企業向けの教育研修プログラムを売り込むのであれば、「どんな教材を使い、どんな講師が授業をするのか」について説明することが重要な仕事であったのです。

しかしいまや、顧客は営業担当者が商品やサービスの情報を伝えるだけでは満足しなくなっていると著者は指摘しています。

1980年代にさまざまな調査で明らかになったのは、「大型の商談で成果を出している営業担当者の共通点は、『顧客の課題を引き出し、解決策を提示していること』である」ということ。したがってそれ以降、営業という仕事では、単に顧客に対して商品やサービスの情報を伝えるだけの「プロダクト営業」ではなく、商品やサービスを用いた課題解決を提案する「ソリューション営業」が大切であるといわれるようになったわけです。

ところが、もはやそれは過去の話。事実、「ソリューション営業」が機能不全を起こしている場面を、著者はあちこちで目撃してきたのだそうです。

「御社の課題はなんですか?」という質問をするだけではライバルとの差別化を達成できませんし、そもそもそれが有効なのは、顧客が自社の課題を明確に把握できている場合のみ。明確ではなく、顧客も把握できていないような課題の場合、どれだけ問いかけたところで答えが出てくるはずもないのです。

潜在的な課題を引き出すために有効なのは、顧客の課題を営業担当者が示唆するような「示唆質問」や、課題の解決方法を提示するような「解決質問」。しかし、顧客が気づいていない課題を営業担当者が示唆するのは、簡単なことではありません。

顧客に対して、単に情報を提供するのではなく、顧客の情報を収集し、課題を見抜き、その解決方法を提案する「ソリューション営業」は年々、重要になっています。

しかしそんな「ソリューション営業」にも限界はあります。これからの時代は、「ソリューション営業」からさらに一段踏み込んだ、新しい営業が必要になってくるのです。(33ページより)

そこで、「NEW SALES」の出番だというわけです。(30ページより)

【NEW SALES】「ストーリー(物語)」で顧客を魅了する

そもそも顧客が商品・サービスを買う目的は、「願望の実現」です。いいかえれば、「こんな状態になりたい」「こんな問題を解決したい」といった願いを叶えること。そして、人が商品やサービスを買うまでの意思決定を分解すると、次のようなステップになるといいます。

① 理想 自社や自分の理想の状態を思い浮かべる

② 課題 理想と現状の差を認識する

③ 価値 課題を解決するために、商品・サービスによって実現しなければならない効果を認識する

④ 方法 その価値を生み出すため、最適な方法として「買う」ことを選択する

(34ページより)

ここで著者は、マーケティングの世界における「ドリルと穴」を引き合いに出しています。顧客はドリルそのもの(方法)を買いたいのではなく、ドリルを使って開けた穴(価値)を買いたいのだという考え方。しかも重要なのは、顧客が突然、壁に穴を開けたくなるわけではないということ。

「こんな家を造りたいと思い浮かべる」(理想)

「壁にラックを建てたいが、ラックをはめる穴がないと気付く」(課題)

「壁に穴を開ける道具が必要だと気付く」(価値)

「穴を開けるためにドリルを買いたいと思う」(方法)

(36ページより)

つまりはこうした流れに合致した結果、初めてドリルを買うことになるわけです。

そして、これからの時代に求められる営業とは、「このドリルはこんなに性能がいいんですよ」と売り込む「プロダクト営業」ではなく、「どんなことにお困りですか?」と聞く「ソリューション営業」でもないのだそうです。

顧客と共に理想の家を描き、そこに必要な穴を見つけ、最適なドリルを提示するような営業です。(36ページより)

すなわち「理想→課題→価値→方法」のストーリー(物語)を顧客と一緒に組み立てられる営業であり、それを本書では「ストーリー営業」と呼んでいるのです。(34ページより)

この一冊で、営業に関わるあらゆるビジネスパーソンが「OLD SALES」から「NEW SALES」へと生まれ変わることができると著者は断言しています。営業の新たなポテンシャルをつかみ取るために、活用してみる価値はありそうです。

Source: ダイヤモンド社

メディアジーン lifehacker
2022年6月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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