<東北の本棚>被災地の地域資源紹介
[レビュアー] 河北新報
俳優の佐藤健さんと神木隆之介さんが宮城県内を巡り、伝統芸能や産業、文化、食を紹介する一冊。現地の人々との対話を通し、地域の歴史に触れ、未来に思いをはせる。2人の横顔を捉えた写真もふんだんに収録した。
取り上げたのは、南三陸町の伝統芸能「行山流水戸辺鹿子躍(ししおどり)」や、若手漁師らでつくる石巻市の一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン、松島町の観光遊覧船など。仙台市の松川だるまの絵付け作業や仙台七夕の飾り作りにも挑戦した。
仙台市の「せんだい3・11メモリアル交流館」では、立ち上げに関わった市職員らと東日本大震災を語り合った。佐藤さんは会話の中で「観光に行くだけでも貢献できてるんだよっていうこととかを極力、知らせたい」と、本書に復興支援の狙いがあることを強調している。
テレビドラマ初主演が仮面ライダーシリーズだった佐藤さんは、原作者石ノ森章太郎さん(登米市出身)ゆかりの石ノ森萬画館(石巻市)に足を運び、作品への愛を語った。鉄道好きの神木さんは、旧くりはら田園鉄道の歴史を伝える「くりでんミュージアム」(栗原市)で大興奮。2人の素顔が垣間見えるのもファンにはうれしいポイントだ。
(柏)
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NHK出版0570(009)321=1980円。