<東北の本棚>「信仰の対象」訪ね紹介
[レビュアー] 河北新報
信仰の対象となっている岩石がある東北6県の100カ所を紹介した写真・コラム集。白石市在住で採石業の4代目が引退後、各地を巡り執筆した。
取り上げたのは、日本3大霊場・恐山と深い関わりを持つ仏ケ浦(青森県佐井村)や、国内最大級のストーンサークルがある大湯環状列石(鹿角市)、「受験の神様」として知られる釣石神社・男石(石巻市)など。
盛岡市の三ツ石神社には、神に縛り付けられた鬼が二度と悪事をしない証しとして手形を残したとされる石があり、岩手の名の由来と言われる。石の周りを「さんささんさ」と踊ったのが盛岡さんさ踊りの原形との伝承も残る。
白石市の鷹巣(たかのす)石(いし)神社は、ご神体の石が皮膚病を治す「いぼ神様」として信仰を集める。手から腕にかけてあざがある料理人や、全身にいぼがある小学生らが祈願し、完治したとの逸話があるという。
世界文化遺産「北海道・北東北縄文遺跡群」は、環状列石の存在が当時の精神文化を示すと評される。著者は「石に対する信仰は、縄文時代で途切れてしまっているわけではなく、かたちを変えて現代にまで脈々と受け継がれているのではないか」と強調する。(柏)
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