都会に生息する鳥を研究してきた著者が、社会の変化に適応しながら生きるカラスの生態や、猛禽(もうきん)類の都市進出について解説した。
都心のカラスは、昭和60年から15年間で約3倍に急増。餌となる生ごみの増加をバブル経済が後押しした。だが、ごみの減量や分別収集の取り組みで、カラスは減少に転じた。さらに、コロナ禍に伴う外食やイベントの自粛で繁華街の生ごみが減り、カラスも急減。カラスを捕食する猛禽類のハヤブサが高層ビル群に、オオタカが緑地に進出したことも、カラス急減の要因だそう。人間の営みと鳥との関係が面白い。(中公新書・1155円)
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2023年7月8日 掲載
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