謎と驚異の詰め合わせ。「ミステリ短編集5選」

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謎と驚異の詰め合わせ。「ミステリ短編集5選」

[レビュアー] カドブン

レストランではあれもこれも頼みたいし、できることならひと口ずつ食べてみたい。洋服でもお菓子でもゲームでも乗り物でも、欲しいものは一つに決められない。求めるものすべてを専用の箱に詰め合わせて、気軽に手に入れることができたらいいのに。

そんなふうに考えてみると、短編集というものは贅沢なことこの上なし。人気作家のさまざまなエッセンスが1冊に詰め合わされ、ひと口で虜になる1編も、繰り返し味わいたい1編も、何でもござれの大盤振る舞い。

なかでもミステリ短編集は、「謎」と「驚き」が満載の、作家の魅力の贅沢な詰め合わせ。今回ご紹介するのは、作家のさまざまなマジックを1冊で楽しめる、5つのおすすめミステリ短編集です。もしかしたら、楽しさの本番は2編目から。なぜって、1編目の驚きや感動を、2編目は思いもよらぬ角度から、予想もしない方法で塗り替えていくから。

■短編くらいは贅沢したい。おすすめの「ミステリ短編集5選」

■呉勝浩『素敵な圧迫』(KADOKAWA刊)

謎と驚異の詰め合わせ。「ミステリ短編集5選」
謎と驚異の詰め合わせ。「ミステリ短編集5選」

『爆弾』『スワン』の気鋭が放つ、超弩級のミステリ短編集

「ぴったりくる隙間」を追い求める広美は、ひとりの男に目を奪われた。あの男に抱きしめられたなら、どんなに気持ちいいだろう。広美の執着は加速し、男の人生を蝕んでいく――(「素敵な圧迫」)。

交番巡査のモルオは落書き事件の対応に迫られていた。誰が何の目的で、商店街のあちこちに「V」の文字を残したのか。落書きをきっかけに、コロナで閉塞した町の人々が熱に浮かされはじめる――(「Vに捧げる行進」)。

ほか全6編を収録。
物語に翻弄される快感。胸を貫くカタルシス。
文学性を併せ持つ、珠玉のミステリ短編集。

(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/322303000843/

■青崎有吾『11文字の檻 青崎有吾短編集成』(創元推理文庫刊)

謎と驚異の詰め合わせ。「ミステリ短編集5選」
謎と驚異の詰め合わせ。「ミステリ短編集5選」

著者による各話解説も収録した、デビュー10周年記念作品集。

『体育館の殺人』をはじめとした論理的な謎解き長編に加え、短編の書き手としても人気を集めてきた青崎有吾。JR福知山線脱線事故を題材にした「加速してゆく」、全面ガラス張りの屋敷で起きた不可能殺人を描く本格推理「噤ヶ森(つぐみがもり)の硝子(ガラス)屋敷」、最強の姉妹を追うロードノベル「恋澤姉妹」、掌編、書き下ろしなど全8編。著者あとがき=青崎有吾

(あらすじ:東京創元社オフィシャルHPより引用)

■法月綸太郎『赤い部屋異聞』(角川文庫刊)

謎と驚異の詰め合わせ。「ミステリ短編集5選」
謎と驚異の詰め合わせ。「ミステリ短編集5選」

作家・法月綸太郎が、偏愛する東西の名作九篇に捧ぐ、オマージュ連作短編集

日常に退屈した者が集い、世に秘められた珍奇な話や猟奇譚を披露する「赤い部屋」。新会員のT氏は、これまで九十九人の命を奪ったという恐るべき〈殺人遊戯〉について語りはじめる……。江戸川乱歩の名作短篇「赤い部屋」に捧げる表題作ほか、著者が敬愛する作品へのオマージュだけを集めた、ミステリファンにはたまらない全九篇。

(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/322209001183/

■阿津川辰海『透明人間は密室に潜む』(光文社文庫刊)

謎と驚異の詰め合わせ。「ミステリ短編集5選」
謎と驚異の詰め合わせ。「ミステリ短編集5選」

波に乗る著者が放つ高密度の本格ミステリ!読めばファン確定。驚嘆必至、必読の一冊!

透明人間が事件を起こしたら?アイドルオタクが裁判員裁判に直面したら?犯行現場の音を細かく聞いてみたら?ミステリイベント中のクルーズ船で参加者の拉致監禁事件が起こったら?阿津川辰海の傑作短編集がついに文庫化。

(あらすじ:光文社オフィシャルHPより引用)

■芦沢央『汚れた手をそこで拭かない』(文藝春秋刊)

取り扱い注意! 最恐ミステリ、誕生
第164回直木賞候補作

平穏に夏休みを終えたい小学校教諭、認知症の妻を傷つけたくない夫。
元不倫相手を見返したい料理研究家……始まりは、ささやかな秘密。
気付かぬうちにじわりじわりと「お金」の魔の手はやってきて、
見逃したはずの小さな綻びは、彼ら自身を絡め取り、蝕んでいく。

取り扱い注意! 研ぎ澄まされたミステリ5篇からなる、傑作独立短編集。

(あらすじ:文藝春秋オフィシャルHPより引用)

KADOKAWA カドブン
2023年09月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

KADOKAWA

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