『創造論者VS無神論者』 岡本亮輔著
[レビュアー] 産経新聞社
今世紀に入り、英米圏で激化の一途をたどる宗教と科学の対立。まず宗教の側が「何らかの知的な存在が世界や生命を設計した」とする科学風味の創造論「インテリジェント・デザイン論」を打ち出し、公教育への浸透を図る。対する科学者サイドからは、英国の進化生物学者ドーキンスに代表される論争的な「新無神論者」が台頭。神の否定と信仰の放棄を大衆に呼びかけ、宗教の害を猛批判する。
過去1世紀にわたる両陣営の闘争を概観。信仰ぬきの「文化的なキリスト教徒」としてクリスマスは祝うという、ドーキンスのある種「日本的」な宗教観が興味深い。(講談社選書メチエ・1980円)