冒頭に出てくる「カレーそば」の書き口に引き込まれる。〈味は好みなのだが、食べるたびに、自分で自分に好みだと思い込ませているような気もする〉。神戸生まれの“ロック漫筆家”によるエッセー集。約800字、見開きで読み切りの短文が並ぶ。食べもの、面白い店たち、町歩きの話、神戸に関係する本や映画のこと、知人とのエピソードなど、半世紀近く暮らす町のあれこれを、軽妙に切り取っていく。音楽と神戸に詳しかったら面白さは倍増するだろうが、そうでなくてもぜひ。私も地元を歩き直してみようかな-。そんな気分になれるから。(ぴあ・1500円+税)
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2015年12月13日 掲載
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