上司に頼まれた仕事を、角を立てずに断るコツは? 上司や部下との接し方のマナー

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上司に頼まれた仕事を、角を立てずに断るコツは? 上司や部下との接し方のマナー

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

マナーは、ビジネスパーソンにとって非常に重要。とはいえ、ともすると堅苦しく面倒なものだと考えてしまいがちでもあります。しかし、そう難しく考える必要はないのだと主張するのは、『仕事も人間関係もうまくいく! マナードリル』(関下昌代著、総合法令出版)の著者です。

意識しておくべきポイントは、マナーとは「人が心地よく感じることを想像し、振舞うこと」であるということ。受け取る相手によって感じ方がまったく違ってくるものだからこそ、まずはマナーの基本を学び、それを相手によってアレンジすることが大切だという考え方です。

そして、そのすべてのスタートラインが「第一印象」。第一印象が悪いと相手は話をする気にすらなってくれませんが、「この人、感じがいいな」と思ってもらえると、人は自然と心を開いてくれるわけです。そういう意味でも、マナーは人間関係をつくる最初の入り口なのだということ。

そこで本書では、少しでもビジネスマナーを楽しく学べるようにと、Q&A方式で構成しているわけです。ちなみに、著者がこれまで数々の企業で行なってきたビジネスマナー研修のなかで、特に受講生が判断に迷ったものを中心に紹介しているのだそうです。Lesson 7「接し方のマナー」のなかから、いくつかを引き出してみましょう。

終業間際、上司から頼まれた仕事を断りたい場合、どう伝える?

帰宅の準備をしていたところ、上司に仕事を頼まれました。用事があって断りたいとき、何と伝えれば良いでしょうか。

著者は、こうしたケースの対応策として「明日朝一番ではいかがでしょう?」と提案することを勧めています。「それはできません」とはっきりいうと、当然ながら角が立ちます。しかも感情的にいうと、相手もカチンとくるものです。

そんなとき、柔らかい空気を壊さないようにするためには、「その仕事はいつまでに必要ですか?」などと、時系列を意識して話すようにすると良いというのです。そのうえで、残業ができないときは「きょうは○○の用事が入っていて残業は難しいのですが、明日の朝一番、頭がフレッシュな時間帯に集中してやるというのはいかがでしょうか?」と提案してみるということ、「どうしたらできるか」という視点から提案する形にすると、お互いに嫌な感情を抱かないですむわけです。

なお、上司や先輩との接し方にも気をつけたいポイントがあるそうです。自分の仕事で頭がいっぱいになり、上司に質問するときにも一方的に話す人がいますが、上司にはただ質問すればいいわけではないというのです。

相手がいま、部下の質問に答えられる時間と心の余裕がある状況かどうかは、机の上にある書類の量、上司の態度や声に現れるもの。そこを読み取らず、上司が余裕のないとき、いきなり相手にとって優先順位の低い話題を持って行くと、イライラさせてしまうだけだということです。

重要なのは、相手の状況を見て、話しかけていいタイミングだったとしても「○○課長、いま、お時間ありますか?」と、まずはお伺いを立てること。「なに?」といわれたら、「○○の件でいくつかご相談があります」と、まずは要件を端的に伝達。そうすれば、「急ぎ? もしそうでなければ、あと1時間後でいいかな?」などと、上司も自分の都合と照らし合わせて回答できるわけです。その結果、落ち着いて話せる時間が取れれば、お互いが気持ちよくコミュニケーションでき、結果として仕事を前に進めやすくなるわけです。(101ページより)

初対面の人となかなか話が盛り上がらない場合、どうする?

初対面の人となかなか盛り上がれない場合、どこに工夫したら良いと思いますか?

こういうときに大切なのは、相手の関心事を探ってみること。難しそうに思えるかもしれませんが、相手がどんなものに関心があるかは、身につけているもの、持ち物、机の上に置いてある私物などをよく観察することで見えてくるといいます。また、こちらから質問することで、その人にとってのマイブームなどがわかる場合も。

とはいえ個人情報の問題もあるので、あまりプライベートに立ち入るのは危険。また、昔から政治と宗教と野球の話はタブーだといわれてもいます。他にも、個人によって好みがはっきり分かれるものは要注意。誕生日や家族構成など、相手が率先して話してくる話題を拾い、そこから話を膨らませるのも会話が途切れないコツだそうです。(115ページより)

課長を飛び越え部長に相談したいとき、どうする?

先日、部長と会う機会があったので、課長である上司に打診して受け入れてもらえなかった提案を行ったところ、OKをもらえました。しかし後日、上司に怒られました。
何がいけなかったのでしょうか。

いうまでもなく、会社には役職が存在するものです。役職によって命令系統をはっきりさせ、責任や権限の範囲が決められているわけです。にもかかわらず、その階層を飛び越え、いきなり上司のさらに上司に意見を伝えたとしたら、それはルール違反。必ず、直属の上司に断りを入れたうえで行うのが礼儀だということです。

良識のある人は、上下関係を考慮して発言するもの。自分が直接意見をいってもいいのか、いいとしても、いまは最適なタイミングなのか、この場で発言することが果たして本当にいいのか、などを考えたうえで発言するということです。思ったまま行動するのではなく、まわりを見て行動するように心がけるべきなのです。

なかには、上下関係や役所にかかわらずなんでも話し合える会社もあるでしょう。しかしその場合も、上の役職の人に意見を伝える場合は、念のため上司に断りを入れておくとスムーズにことが運ぶといいます。

ちょっとした誤解で関係を悪化させることのないよう、細心の注意を払って対応する気づかいが、職場の良好な人間関係を生むわけです。(121ページより)

後輩を注意する際、どのようにいうと角が立たない?

アルバイトAさんは遅刻が多く周りも困っています。
教育担当のあなたは、注意しようと思い立ちました。
どのように注意したら角が立たないでしょうか?

こういう場合は、二人で話せる場所に呼び出し、「心配しています」と切り出すべき。ポイントは、いきなり叱らないことだといいます。呼び出された時点で、相手は「なにかしたのかな?」と不安に思っているもの。そのため、いきなり叱るのは効果的ではないわけです。

聞く耳を持って反省してもらうためには、まず客観的な状況を説明し、そのあと「私は、あなたのことを心配しています」と伝えなければならないというのです。なぜなら、相手を責めていないということがわかると、いわれたほうも心を開きやすくなるから。そして、大勢の人がいる前で中止するのは、相手に恥をかかせることになり、逆効果だといいます。(125ページより)

あなたの取った行動によって、お客様を怒らせてしまいました。
お詫びするとき、どのようなことに気をつければ良いでしょうか。

お詫びをする場合は、まず「申しわけございませんでした」と伝え、さらに「今後このようなことがないようにいたします」と添えるようにするべきだと著者は記しています。

クレーマーでない限り、苦情は相手によくなってもらいたいからこそいいたくなるもの。つまり苦情を伝える側にも、相応の負荷がかかることを意識しておくことが必要だという考え方です。

また、お詫びは書面やメールだけで済ませないことも重要。実際に会いに出かけたり、電話をかけ、声でお詫びの気持ちを伝えるようにすることが大切だということ。文字だけでは伝わらないお詫びの気持ちが、五感を通じて相手に伝わるからです。(127ページより)

身だしなみ、接客、電話、メールなど、日常生活においてのさまざまなマナーが紹介されているので、とても実践的。すぐに役立つものばかりですから、あらゆるビジネスシーンで役立ってくれることでしょう。

(印南敦史)

メディアジーン lifehacker
2017年4月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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