マルチタスクは「弊害」? 仕事のパフォーマンスを上げる「マインドフルネス思考」とは

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マルチタスクは「弊害」? 仕事のパフォーマンスを上げる「マインドフルネス思考」とは

[レビュアー] 印南敦史

仕事が速く、結果を出し続ける人のマインドフルネス思考』(人見ルミ著、あさ出版)の著者は、ニュースレポーター、お天気予報キャスターを経て報道ディレクターに転身し、数多くのTV番組を手がけていたのだそうです。ところが心身ともに疲弊して「働く意味」を見失ってしまったため、28歳で単身インドへ渡航。かくして師匠のもとでヨガ・瞑想などマインドフルネスのエッセンスを学び、感情をコントロールする方法を身につけたのだといいます。

ここ数年は大企業から中小企業までの多くの企業から依頼を受け、マインドフルネスの研修を担当。そうして800名以上の著名人や経営者と接してきた結果、気づいたことがあるのだそうです。

それは、トップに立つ人ほど「マインドフルネス思考」を持っており、(意識するしないにかかわらず)脳の休息を上手にとり、感情に左右されず、短い時間で最高の仕事を行っているということです。

特に、長く企業を存続させている経営者ほど、目を閉じてゆったりとする時間をとって頭をリセットさせたり、ネガティブなこと、イライラすることが心に溜まってきたときはすぐに排除して、フラットな状態にされていました。

また現在、結果を出している人の多くが、「マインドフルネス」を日々の生活に取り入れ、「マインドフルネス思考」で考えることで成果が出ているのです。(「はじめに」より)

そこで本書においては、マインドフルネスを活用し、仕事が速く、結果を出し続けるための仕事のコツ、考え方のコツを「マインドフルネス思考」として紹介しているわけです。きょうは第2章「仕事のパフォーマンスをあげるマインドフルネス思考」に焦点を当ててみたいと思います。

マルチタスクは「弊害」である

仕事が速く結果を出し続ける人は、「限られた時間のなかで結果を出すにはなにをすべきか」「自分にとって重要な課題はなにか」を冷静に見極め、実行しているもの。だからこそ効率的に動くことができ、仕事を片づけるのが速いということ。

ちなみに「仕事ができる人」というと、マルチタスク(同時に複数の仕事を手がけること)をこなしている人をイメージしがちです。しかし意外なことに、そんな働き方はオススメできないと著者は記しています。

なぜなら、同時に複数の仕事を進行・処理できているように見えるものの、脳の働きの面から考えると、活動領域を瞬時に切り替えているにすぎないから。そして、それは脳にとってはあまりいい状態とはいえないのだそうです。その理由について著者は、欧米の実験の話題を引き合いに出しています。マルチタスクを行うことで過剰な負担がかかって脳が損傷したり、精神にも負担がかかり、身体に悪影響を及ぼしかねないという報告が上がっているというのです。

目の前の仕事に集中しているつもりでも、時間の割に進んでいないのは、一つひとつのタスクを瞬時に切り替えしなくてはならないため、脳が疲弊しているからなのです。(65ページより)

また、マルチタスク派の人はシングルタスク(ひとつの仕事)に集中する人とくらべて生産性が低いという研究報告もあるそう。その理由について著者は、「ムダな切り替えを増やすほど脳内は疲弊し、それとともに仕事が混乱してしまうため」だと解説しています。

仕事が速く結果を出し続ける人は、膨大な量の仕事を優先順位に沿って見極め、シングルタスクに切り替えてから取り組んでおり、ひとつのことに集中できる環境を整えているのだということ。

・ たとえば部下に対して、「自分に話しかけるときは『いま、話しかけてもいいですか?』と確認してもらうようにし、タスクがひとつ片づいたあとに、脳も気持ちもしっかり切り替えてから、部下の目を見て話を聞くようにする。

・ 上司から話しかけられることが多いのであれば、「きょうは集中したいので、先に話を伺いにきました」と、こちらから聞きに行く。

・ メールやSNSも確認する時間を決め、それ以外の時間は、着信の知らせがPC画面に現れても一切開かず無視する

・ 次々と鳴る電話に思考を中断されるのであれば、社内で相談し、Aチーム、Bチームに分けて、1時間交代で電話に出るチームと出ないチームを決める

たとえばこのように、メリハリをつけるということ。マインドフルネス思考で仕事に取り組むということは、「あれもこれもという雑念状態をなるべく排除し、優先順位を決めてからひとつの物事に集中してスピーディに取り組む」ことなのだそうです。(64ページより)

ムダを捨てて大事なことに集中する

優先順位の判断と決断を確実に実行するためには、ムダなことを捨てて大切なことに集中することが大切。つまり、「ムダなことはなにか=やらなくていいことはなにか」を見定める必要があるということです。そのため著者は、ムダなことを排除し、集中するための時間を増やす5つのコツを紹介しています。

1. 迷いが生じるような選択肢を減らす

人は毎日たくさんの取捨選択・決断をする必要がありますが、1日でできる正確な決断の数には限りがあります。つまり、ここぞというところでいい決断をするためには、その人にとって重要ではない決断の回数や量を極力減らすことが重要。

2. 朝と晩のルーティーンを決める

仕事ができ、結果を出している人の多くは、朝早く起きて、その日やるべきルーティーンを決めてから行動を開始するのだそうです。生活をパターン化することで、体が自然に動く環境を整えているということ。体がスムーズに動くため、その行動のために頭を使う必要もなく、フリーになった頭で大事なことを考えるわけです。

3. 人の手でやらなくていいことは自動化する

アプリやツールを積極的に活用して仕事の一部を自動化すれば、タスクを簡略化することが可能。やるべきことに集中するためには、アウトソーシングを有効活用することが大切だということ。

4. デジタルデトックスをする

脳を適度に休息させるために、あえてデジタル機器と離れる時間を持つべきだという考え方。通勤電車のなかではスマートフォンを見るのではなく、目を閉じてきょうやるべき仕事の段取りやプレゼン、会議で発言している自分をイメージする時間にあてるというわけです。こうすれば、職場に着いてすぐ仕事モードに入れます。

5. 音楽は最小限に

作業に集中するために音楽を聴きながら仕事をする人も少なくないでしょうが、そこには気持ちが仕事から離れてしまう危険性も。そのため著者は、できれば音楽を聴きながらの仕事は避けたほうがいいと主張しています。流すのであれば、ヒーリング系や自然の音を。(68ページより)

集中+休憩+集中=効率

いうまでもなく、人間の集中力はずっと続くものではありません。必要なときに集中力を高め、仕事の生産力を上げるには、上手な休息の活用が必要だということ。そこで著者は、企業研修で勧めているという2つの方法を紹介しています。

1. ポモドーロ・テクニック 集中25分+休憩5分

ポモドーロ・テクニックとは、1990年代初めに起業家のフランチェスコ・シリロ氏によって発明された時間管理方法。1タスクを25分で取り組み、5分間の休憩をはさんだら、次のタスクに取り掛かる、ただそれだけなのでとても簡単。

25分間は、その1タスクのみに集中して取り組むこと、また、メール、SNSなどのチェックは一切しないことがルール。ひたすらアウトプットに注力するべきだということです。そして5分休憩時には、簡単なストレッチ、3分程度の瞑想を行うと効果的。これを繰り返し続けることで、より注意力や集中力が強化されることに。休憩を入れることで集中力が増すため、最初のうちは25分かかっていた量のタスクが、次第に短い時間で終わるようになっていくといいます。

2. ウルトラディアン・リズム・テクニック 集中90分+休憩20分

ウルトラディアン・リズム・テクニックとは、人のエネルギーが1日のうちに何度もアップダウンを繰り返す、そのサイクルのこと。集中力の持続や睡眠周期などを指すのだそうです。

人間の集中力の持続は約15分間であるため、小学校の45分授業、中学高校の60分間授業など、学校の授業はその倍数で形成されているというのは有名な話。テレビ番組で15分ごとにコマーシャルが入るのも、視聴者が飽きずに60分番組を見られるようにするための仕組みだといわれています。

そしてこの方法は、長い時間が必要な作業、大量の書類・資料の熟読をするときなどにお勧めだといいます。まず90分間タスクに取り組み、20分間の休憩をはさんだのちに再開する、このサイクルを繰り返すわけです。90分刻みの体内リズミに合わせて仕事をすることによって、成果をあげようという考え方。こうして集中と休憩の時間をとりながら自己管理をすると、驚くほど仕事の効率がアップするのだそうです。(78ページより)

本書の特徴は、マインドフルネスを「仕事効率(時短)」「生産性」「集中・高いパフォーマンス」「心身のバランスのとり方」「人間関係」などの課題解決法として活用することを提案している点。つまり、「マインドフルネス思考」を無理なく生かすことができるわけです。一度、手にとってみてはいかがでしょうか?

メディアジーン lifehacker
2017年7月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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