魔術的リアリズムの源流として読む

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

ラテンアメリカ怪談集

『ラテンアメリカ怪談集』

著者
ホルヘ・ルイス・ボルヘス [著]/鼓 直 [編集]
出版社
河出書房新社
ジャンル
文学/外国文学小説
ISBN
9784309464527
発売日
2017/09/06
価格
858円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

魔術的リアリズムの源流として読む

[レビュアー] 図書新聞

 ラテンアメリカ作家たちの怪談、というより幻想文学のアンソロジー、待望の復刊。初版は1990年で、日本でのラテンアメリカ文学の位置づけも21世紀に入ってだいぶ変わってきたが、それでも様々な作家の意匠を凝らした短篇小説集として現在も読むことができる。本書ではボルヘス、コルタサル、フエンテスなどの有名どころから(今や皆亡くなってしまった)、日本では比較的マイナーであった作家たちまでの(復刊までの間に彼らの作品も少しずつだが紹介されている)多岐にわたる傑作を収録。確立された魔術的リアリズムによる「ブーム」や「ベストセラー時代」以前の、アルゼンチン・メキシコを中心としたこれら幻想文学は、ラテンアメリカ文学における小説刷新の歴史から見ても重要だ。(鼓直編、9・20刊、三六八頁・本体七八〇円・河出文庫)

図書新聞
2017年10月28日号(3324号) 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

図書新聞

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク