『ゾンビたち』キム・ジュンヒョク著、小西直子訳
[レビュアー] 産経新聞社
全国を車で走り回って携帯電話の受信感度をチェックする仕事をしている「僕」は、無通信エリアにカーナビにも登録されていない小さな村があることを知る。兄の遺品であるロックのレコードがもたらした奇妙な縁で、村を再訪することになるが、じつは…。
〈僕は今、数百人のゾンビの群れの中に立っている。血生臭いにおいと叫喚に満ちたこの場所に、立っている〉。ゾンビ(生きた死体)がうようよ登場するけれど、単純なパニックホラーじゃない。エンタメ度の高い独特の文芸を楽しめる。しゃれた表紙が内容にぴったりなので、ジャケ買いで間違いなし。(論創社・2500円+税)