【児童書】『ツリーハウスがほしいなら』
[レビュアー] 横山由紀子
■非日常の世界にワクワク
木の上に家を建てて暮らす-。想像するだけで、ワクワクしてしまう。
そんな夢と野趣あふれるツリーハウスを、少年少女が手づくりするストーリー。米ロサンゼルス在住の小学校図書館員が書き下ろし、英国在住のイラストレーターがみずみずしい絵を描いた。
ひしめき合う木々の中からどれを選び、どんな家をつくるのか。あれこれ思案するのも楽しい。
できあがったツリーハウスは、ただの家ではなく、独創性と遊び心にあふれている。川のほとりに立つ大木の枝には、ロープでできたブランコが用意され、川面すれすれにブランコをこぐスリルが味わえる。岩場に立つ木の上には、はしごをかけた図書館を開設し、勉強も忘れない。
おなかがすいたら、メープルの木にくぎを打ち込んでシロップを採取。夜には、背の高い木のてっぺんに建てた家でロマンチックな天体観測も。
非日常の世界にひたれて、想像力を育んでくれる一冊だ。(カーター・ヒギンズ作、エミリー・ヒューズ絵、千葉茂樹訳/ブロンズ新社・1400円+税)
横山由紀子