バレットジャーナル発案者が語る、生産性・マインドフル・意志力の重要性

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

バレットジャーナル発案者が語る、生産性・マインドフル・意志力の重要性

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

バレットジャーナル 人生を変えるノート術』(ライダー・キャロル 著、栗木さつき 訳、ダイヤモンド社)の著者は、デジタル世代のためのアナログ・メソッドとして注目されている「バレットジャーナル」の発案者。

幼少期からADD(発達障害)で悩んできた結果、自分の頭のなかを整理するために開発したのがバレットジャーナルだったのだそうです。

それは、仕事、家庭、人間関係など、あらゆる悩みを解決するツールなのだといいます。

しかも、決して難しいものではないようです。なにしろ必要なのは1冊のノート、1本のペン、そして1枚の紙だけだというのですから。

ちなみにバレット(Bullet)とは、「箇条書きの一項目を示す(・)」のこと。

すなわち箇条書きでメモし、記号や移動を活用しながら、思考・情報・タスク・時間・習慣・目標など、自分のすべてを主体的に整理・管理することができるノート術だというわけです。

本書で説明しているシンプルなツールやテクニックを活用すれば、頭のなかを整理できるだけではなく、日々の暮らしに淀みがなくなり、方向性がはっきり見えてきて、集中力も高まる。

頭のなかが整理されればたしかに気分は上向くけれど、それだけに価値があるわけじゃない。自分の深いところに眠っている、もっと価値のあるものが浮上してきて、目に見えるようになることが肝心なのだ。(26ページより)

著者が編み出したそのノート術は、本当に重要なことに集中し、「自分にとって大切なことはなにか」を考えるうえできわめて貴重な「アナログの避難所」を提供しているのだといいます。

重要なポイントは、バレットジャーナル を活用すれば、仕事でもプライベートでも「自分への理解を深める」ことができるということ。

忙しい日常のなかでしばし足を止め、大切なことを細かく書き出すというシンプルな行為は、単なる整理術ではおさまらないというのです。

なぜなら、そうすることによって「自分自身」や「心から大切に思っているもの」とふたたびつながれるようになるから。

本当に意味のあることに集中する

バレットジャーナルを活用すれば、取り組む作業の数を減らし、大きな成果をあげられる。

無意味なことに取り組むのをやめ、本当に意味のあるものを見きわめ、それに集中できるようになる。(32ページより)

そうするためには、「生産性」「マインドフルネス」「意志力」という3本の柱を、杓子定規ではなく、融通がきいて、なにより実用的な枠組みに組み込めばいいのだとか。

どういうことなのか、ひとつずつ確認してみましょう。

生産性をあげる

仕事や用事、ミーティング、メールなど、「しなければならないこと」が多すぎて、心が折れそうになることはあるものです。

そのままにしておけば、やがて生産性が落ちていくことにもなるでしょう。

そこで生産性をあげるため、日々、押し寄せてくるデジタルの情報の波をなんとか押しとどめる必要があると著者は主張するのです。

そこで、アナログのソリューションである「バレットジャーナル」が重要な意味を持つということ。

つまりネットワークと接続していない空間で、じっくりと問題を検討し、考え、集中することに意味があるのです。少なくとも、ノートを開いている間はネットを遮断できます。

すると一時的に情報の流入を押しとどめ、人生について考えられるようになるというのです。

その結果、ぼやけていた問題がはっきり見えてきて、日々の生活を明確に検討できるようになるというわけです。

バレットジャーナルを活用すれば、頭のなかのごちゃごちゃを整理し、問題を客観視したうえで検討できるようになる。(32ページより)

こう聞くと、「だとしたら、メモ用紙やアプリに書き留めておけばいいのでは?」と疑問に思うかもしれません。

しかし、頭にひらめいたアイデア、「これは覚えておこう」と思った内容、備忘録などをメモ用紙やアプリに書き留めたところで、結局はどこに行ったかわからなくなってしまったりするものです。

それでは非効率が重なるばかりで、処理能力は低下する一方。

しかし「信頼の置ける情報源」となるようにデザインされているバレットジャーナルを活用すれば、考えていたことや覚えておこうとした内容を見つけられず途方にくれることがなくなるのだといいます。

考え方はとても明快。

頭のなかにあることを一か所にまとめて保管すれば、たとえ用事が山積みになっていても、優先順位を効率よく決められるようになるわけです。

バレットジャーナルを活用すれば、人生の舵を取れるようになる。

外部からの刺激や要求にいちいち反応するのではなく、慎重に選んだ重要な問題に積極的に取り組めるようになるからだ。(32ページより)

多くの困難な問題に取り組み、漠然としていた好奇心を有意義な目標に変える方法、そしてその目標を管理しやすい小さな段階に分ける方法を身につければ、効率よく行動を起こせるようになるという考え方です。(33ページより)

マインドフルネスで「いま」に集中する

ここでマインドフルネスの話題が出てくるとは少し以外ですが、本書におけるマインドフルネスとは、「いま」に向ける意識を高めることを指しているのだそうです。

現代のテクノロジーは、無限の情報を提供してくれます。そのため、つい時間を割いてしまうものが多数。

すると気が散りやすくなり、大切な人と本当の意味でつながる機会も持てなくなるかもしれません。

しかし、人生という旅で目的地に向かうのなら、賢い旅行者になるべきだと著者は主張しています。

きちんと方向を定め、目的地にたどり着きたいのなら、まず、自分の心のなかを見つめなければならないということ。

マインドフルネスとは、覚醒し、目の前にあるものをしっかりと見るプロセスだ。

すると、自分がいまどこにいるのか、自分は何者なのか、自分はなにを望んでいるのかを意識できるようになる。(38ページより)

そして、このプロセスでバレットジャーナル が役に立つというのです。

なぜなら手で文字を書くという行為は、ほかのどんなメカニズムよりも神経学的なレベルで意識を「いま」に向ける手助けになるから。

自分自身を知るには、「いま」に存在することが重要。そこで、頭のなかに浮かんだ考えをすばやく、そして効率よく書き留める方法を覚えてもらいたいのだと著者は言うのです。

バレットジャーナル を活用し、自分を重ねる習慣を身につければ、日々の雑事に埋没し、人生の目標を見失うことがなくなるそうです。

すなわちバレットジャーナル を実践すれば、「いま自分がしていることを、なぜしているのか」を常に意識できるようになるということ。(38ページより)

意志力で「こう生きたい」と願う人生を生きる

慌ただしい毎日をすごしていると、自分の信念と行動のあいだに溝ができてしまうもの。

しかも、心の底から実現を願っている変化を起こすためには、常に努力を続ける必要があります。

しかしバレットジャーナルを活用すれば、人生の核をなす目標を意識して日々をすごせるようになるのだとか。

つまり、信念と行動のあいだに広がる溝に橋を渡す役割を果たしてくれるということです。

バレットジャーナル を活用していれば、なにが重要で(What)、なぜ重要なのか(Why)、そうした目標を達成するにはどうするのが最善か(How)をしっかりと考える習慣が自然と身につくのだそうです。

毎日、自分の心を見つめるようにうながされるので、たとえ重役室にいようが、教室にいようが、病院にいようが、内省を実践できるようになるからだ。(43ページより)

そう考えると、バレットジャーナル が単なるノート術ではないことがわかるのではないでしょうか?

つまり、まずはこうした基本的な考え方を理解してこそ、本当の意味での有効活用が可能になるのです。(41ページより)

本書は「つくり方(システム)」と「使い方(実践)」の2部構成になっています。

1冊のノートを「思考を整理するツール」に変える方法を学び、そのあと実践していくことになるわけです。

このノート術を活用すれば、過去を振り返り、いまを整理し、未来を計画することができると著者は言います。

人生をよりよい方向へ導くため、本書を参考にしながらそのメソッドを取り入れてみてはいかがでしょうか?

Photo: 印南敦史

Source: ダイヤモンド社

メディアジーン lifehacker
2019年5月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク