ビジネス書としても読める名作ソフトの開発裏話

レビュー

6
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ゲームの企画書(1) どんな子供でも遊べなければならない

『ゲームの企画書(1) どんな子供でも遊べなければならない』

著者
電ファミニコゲーマー編集部 [著]
出版社
KADOKAWA
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784040822761
発売日
2019/03/09
価格
946円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

ビジネス書としても読める名作ソフトの開発裏話

[レビュアー] 渡邊十絲子(詩人)

 わたしもゼビウスにはかなりの時間を捧げたクチだ。この名作シューティングゲームは、どのように作られたか。制作の舞台裏を明かす本書のインタビューを、夢中になって読んだ。

 電ファミニコゲーマー編集部『ゲームの企画書(1) どんな子供でも遊べなければならない』は今年一番の胸アツ新書。ゼビウスでは、敵キャラをリアルな立体に見せる色づかいや、メカの名前に一貫性をもたせ、ゲーム世界の雰囲気を演出した「ゼビウス語」など、随所に作り手のフルスイングが見える。たとえば大きいは「ガル」、奇跡は「ザカート」というように単語を作り、それを組み合わせてメカに命名した。ゲームだけではなく、そのゲームの土台としての「世界」を創造する意気込みである。

 ほかにも、ゲーム内で起こる事象の確率を繊細にあやつることでユーザーの心をつかんだ桃太郎電鉄など、名作ソフトの開発裏話が満載。能力の高い人だけが楽しめるゲームではだめだった。名作ゲームの作り手たちは、本気で「万人向け」を追求したのだ。そんな情熱が正しく結実したさまを、われわれは目撃し体験してきたのだなあ。感無量。

「あのころのゲーム」を懐かしむ人はもちろん、新企画をどう生み出すか悩んでいるビジネスマンにもおすすめしたい。自分がこれから作り出すものを、とことん愛せる者が成功する。そんな情熱に感化されるのはいい気分だ。すでにこのシリーズの(2)、(3)も出ているので、併せてどうぞ。

新潮社 週刊新潮
2019年5月23日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • このエントリーをはてなブックマークに追加