『人生の諸問題 五十路越え』
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中高年なら必ずや“心に響く”部分があるはず、人気「対談」の第4弾
[レビュアー] 立川談四楼(落語家)
本書はコラムニスト小田嶋隆氏とクリエイティブディレクター岡康道氏との対談形式ですが、対談の軌道修整をしたりナイスなツッコミを入れる進行役がいます。ジャーナリストの清野由美氏です。
その清野氏の“あとがき”に、「『日経ビジネスオンライン(NBO)』(現・『日経ビジネス電子版』)の人気対談『人生の諸問題』の、単行本第4弾をお届けします」とあります。長きに亘る連載なんです。小田嶋氏と岡氏が50代に突入した折に始まり、タイトルとなった50代を駆け抜け、現在還暦を超えたくらいに。
小田嶋、岡の両氏は都立小石川高校の同級生で、揃って早稲田大学に進みます。小田嶋氏は就職するもすぐ退職してコラムニストの道を歩み始め、岡氏は長く電通に勤め、独立しての現在で、その来し方を振り返るのも読みどころのひとつです。
小田嶋氏はこの5年で4回入院しています。骨折や軽い脳梗塞ですが、今回病院で本書のゲラ刷りを読み、“はじめに”で「本書こそがまさに、入院生活者のために書かれた理想的な一冊であることに、あらためて思い当たっている」と言い、更に「過去を振り返るという、どうかすると退嬰的な試みを娯楽として楽しむためには、その記憶を多少とも共有してくれている友人が不可欠だ」と述べています。それが岡氏というわけです。
全12章から成りますが、第9章「50を過ぎたら、人間、半分うつなんです」のタイトルは、とぼけた味わいがありつつ、中高年が小膝を打つ名言ではないでしょうか。
もう一度“はじめに”に戻りますが、小田嶋氏は本書を「誰が読んでも、必ずや心に響く部分を持った書籍だと思っている」と勧めています。どうです、ここはひとつその言に乗ってみませんか。小田嶋、岡の両氏が過ごしてきた環境と多少の違いはありますが、私達もまたその時代を確かに生きてきたのですから。