【聞きたい。】門賀美央子さん『文豪の死に様』 「死」を起点に探る作家像

インタビュー

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文豪の死に様

『文豪の死に様』

著者
門賀 美央子 [著]
出版社
誠文堂新光社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784416519493
発売日
2020/11/05
価格
1,650円(税込)

書籍情報:openBD

【聞きたい。】門賀美央子さん『文豪の死に様』 「死」を起点に探る作家像

[文] 平沢裕子

 文豪たちの「死」から、その生き方と作品の意味を解き明かした文芸評論集。文学という手段で人生に取り組んだ文豪たちがどんな死を迎えたのか、自身の主観も交えながら作家像に迫っている。

 「ムック本を作るために文豪の生涯を調べたことがあって、一番興味を持ったのが死に方だった。何歳で、死因は何かと調べるうちに、彼らの死因の中に現代の社会問題に共通するところがあることに気づき、先人の死に方を現代的に読み解いてみようと思った」

 取り上げたのは「一死因一文豪」で10人。繊細な感覚を持つゆえに精神崩壊を起こし自死した芥川龍之介、軍医として頂点を極めかつ近代文学の巨星でありながら一個人として死ぬことにこだわった森鴎外、貧困への恐怖と親族一同を扶養するため過労死した林芙美子…。死を起点にすることで、浮かび上がるのはむしろそれぞれの作家のリアルな生き様だ。

 「生き様の帰結が死に様という解釈です。どういうふうに生きたかで、死に方は変わる。死は人生の総決算だと思う」

 子供のころから妖怪や幽霊、お化けに興味があり、寺や神社に行くのが大好きだった。いずれも死をはさんだ「境界」にある世界だ。文学者の死に方に興味をもったのも、「文学者は境界に生きる人」と考えるためだ。

 自身の死に方も興味の対象だ。日本では葬儀や死後の手続きなどは家族親族が担うことが前提となっている。独身で子供なし、兄弟姉妹もいない自身の死に際の面倒をだれに頼めばいいのか。切実な現実に直面し、死に備えるためのエッセーをWEBマガジンで連載している。

 「理想は、『孤独死』の先駆者でもある永井荷風。死ぬ前日までカツ丼を食べていて、それぐらい元気で死にたい。今は死が見えにくい世の中だが、死を通してしか見えない人間や社会の姿があると思う。そこを私なりにひもといていきたいですね」(誠文堂新光社・1500円+税)

 平沢裕子

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【プロフィル】門賀美央子

 もんが・みおこ 昭和46年、大阪府生まれ。文筆家、書評家。主に文芸、宗教、美術関連の書籍を手掛ける。著書に「ときめく御仏図鑑」など。

産経新聞
2020年12月27日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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