『裸一貫!つづ井さん3』
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“オタク”が発揮する天井知らずの創造性
[レビュアー] 夢眠ねむ(書店店主/元でんぱ組.incメンバー)
私は人間の種類としてのオタクが大好きで、特に一部のオタクに見られる「天井知らずの創造性」に心底惚れている。会社の偉い人たちはアイデアが欲しいならコンサルよりも面白いオタクを雇った方がいいんじゃないか?と常々思っているほど「ないものを作り出す」能力がずば抜けて高いのだ(なぜそんな能力が?という解説もしたいがここでは割愛させていただく)。
普段、仲間内や好きなジャンル内でしか披露していないであろうその能力を漫画で見せてくれるのが「裸一貫! つづ井さん」シリーズである。著者のつづ井さんをはじめ、彼女の仲間たちは創造性の塊で、新刊が出るたびにそのアイデアの数々に大笑い&感嘆している。
冒頭、つづ井さんは散財したくて入ったお店で素敵なワンピースを見つける。店員さんに「ちょっとしたパーティーに着ていくこともできて便利ですよ」と勧められて買ってしまうのだが、売り文句でよく使われる“ちょっとしたパーティー”って自分の人生に存在するのか?と考えた末に「ないなら作りゃあいい」とすぐ仲間に連絡する。しかし世はみるみるコロナ時代へ、いつもの仲間と会えなくなるのだがリモートで開催することになり……。他にもリモート夏祭りやリモートハロウィンなど盛り沢山で、リモート飲みってこんなに面白くできたんだ、私なんてひねりもなく一回リモートピザパーティーしただけだ……と自分のしょうもなさにショックを受ける。ああ、世の中にこんなに面白いリモート遊びをしている人がいるなんて、賢い、羨ましい、参加したい~!! 会えるようになってからのパーティーも楽しそうすぎる。
「第20回文化庁メディア芸術祭」マンガ部門で推薦もされている前シリーズが文庫1冊に纏まった『まるごと 腐女子のつづ井さん』もぜひ。
天才すぎる発想の数々に頭もほぐれること間違いなし!