『シベリアの俳句』ユルガ・ヴィレ文、リナ板垣絵、木村文訳
[レビュアー] 産経新聞社
シベリアに送られたのは日本兵だけではなかった。第二次大戦中の1940年にソ連の侵攻を受けたリトアニアでは、著者の父や祖母を含む大勢の住民がシベリアへ送られた。飢えと寒さに苦しみ、亡くなった人も多い。本書はリトアニアの子供に祖父母の代で起きた強制移送を伝えるため、実話を題材に書かれた物語。日本兵と交流する場面が創作されている。
41~44年のナチス・ドイツ占領下ではユダヤ人虐殺も発生。日本では外交官の杉原千畝がユダヤ難民に脱出用ビザを発給した地として知られるが、そればかりではなかった。日本人も知っておきたい内容だ。(花伝社・2200円)