自分を「偏差値70の女」と思い込む「港区女子」がハマる罠…東大卒の元港区女子が鳴らす警鐘とは?

インタビュー

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そろそろいい歳というけれど

『そろそろいい歳というけれど』

著者
ジェラシーくるみ
出版社
主婦の友社
ISBN
9784074539604
価格
1,540円(税込)

書籍情報:openBD

自分を「偏差値70の女」と思い込む「港区女子」がハマる罠――東大卒の元港区女子が鳴らす警鐘とは?

[文] Book Bang編集部


時代の寵児「港区女子」(※画像はイメージです)

 結婚を意識し始めるのは何歳から……?
 30歳を節目として意識し出す人は多いだろう。それは「港区女子」においても同様らしい。港区女子とは、港区でお金持ちに囲まれ華やかな生活をしている若い女性のことを指す。20代のうちは若さと美貌を武器に都会を闊歩し、「ギャラ飲み」と言われる謝礼つきの富裕層の飲み会やパーティーに参加していても、30代が眼前に迫ると落ち着きたい、結婚したいと思うようだ。

 そんな港区女子が陥りがちな「罠」があると言う。指摘するのは、元・港区女子で東大卒の「ジェラシーくるみ」だ。くるみさんは、夜の街で過ごした経験を活かし“夜遊びコラムニスト”として活動をしている。初の著作『恋愛の方程式って東大入試よりムズい』(主婦の友社)は、SNSで大反響を呼びAmazonのレビューが350件以上も投稿される、恋に悩む20歳前後の女性たちの“参考書”となってきた。

 東京大学で学んだ元・港区女子が分析する、「罠」とは一体何なのだろうか――? ご本人に伺ってみた。

男は「彼氏候補」か「飲み会要員」か「圏外」


この男は「飲み会要員」 に降格、っと

――港区女子は、若くて可愛くてお金持ちからちやほやされるイメージで、恋愛における最上級者と感じますが、何か問題があるのでしょうか?

くるみ:スカウターのごとく、会った男性の「戦闘力(スペック)」を瞬時にはじき出して点数化してしまうんですよ。いいかもと思える男性と出会っても、初デートの振る舞いで家柄や年収を想像して、容姿も合算したスペックを換算する。減点方式で相手を見極め、合格ラインを割ったらすぐに「損切り」をする。

――「損切り」とは穏やかではないですね。時間を無駄にしないよう、さっさと見切りをつけてしまうということでしょうか。

くるみ:そうですねえ。「彼氏候補」だった人をふるいにかけ、人脈を広げるために利用する「飲み会要員」に降格、もしくはそれ以下の「圏外」に分類してしまう。

 機種やOSでスマホのスペックを見るように、相手のことを一人の人間ではなく自分を楽しませてくれるデバイス程度にしか見ていない(笑)

 まあ、この背景には自分自身が“雌”として異性から点数をつけられ、サバイブしてきた経験があるので仕方ないですが……。

 一見、効率的に見えるこの悪癖は、いずれ本人にとって大きな損失になります。スペック換算が得意になると、その人の隠れた面白さだったり、リスペクトできる文化的な面だったり、どうしようもなく愛らしいと思える部分など、相手と対峙して初めて気付けるはずの良いところを探し出す能力が失われてしまうので。

自分は「偏差値70」の女だと過大評価


港区女子の勘違いを生み出すものとは?

――なるほど。相手を見下すせいで本来のいい出会いを自ら逃してしまうのですね。

くるみ:港区女子として生活できるのは、ノリとツラの良い子ばかりです。昔から「なんでそんなに可愛いの」とちやほやされてきた人種。六本木・西麻布界隈で飲んで、怪しい経営者や芸能人との刺激的な出会いに慣れきって、自分なら完璧な相手を捕まえられると勘違いしてしまう。

 “港区女子”をやっていれば、ぺらぺらの人間関係を広げる能力だけは身につきます。でも、誰かと心を通い合わせて、ぶつかり合って、関係を深める経験はなかなか積めない。

 あと相手をバカスカ減点する割に、自分のことは過大評価してしまう節がありますね。自分のことを「偏差値70の女」だと思っていても、客観的に見れば大体63。ただの小綺麗な若いネーチャンですよ。

 自分と違う世界の住人と付き合えたとしても、たいてい数カ月後にはめちゃくちゃに浮気されてテキーラ片手に飲み会にカムバックしてきます。

――自分を客観視することは誰にとっても難しいことだと思いますが、港区女子にはより困難なのでしょうか。

くるみ:これは自戒の念を込めて言いますが、みんな自分の欠点をトイレに流しすぎ。棚に上げるどころか、無かったことにしてしまう。なのに、相手の至らなさには警察犬のごとく敏感で。男友達に、こう指摘されたことがあります。

「女子ってなんであんなに自分を棚に上げるの?顔も身長も、年収も学歴も、家事能力も全部求めるっておかしくない?自分だって持ってないのに」って。本当にそう。

港区女子会という「罠」


彼氏の悪口で盛り上がりがち

くるみ:自己評価のメガネを曇らせる原因の一つに、女子会があると思います。

 たとえば、彼氏と喧嘩したとする。その一部始終を女子会で話すと、すぐ「最低じゃん、そんな奴別れなよ!」と野太い声が上がるんです。

「あんたは面白くて可愛くて総合職のバリキャリなんだから、もっといい人いるって~」という具合に、無責任オブザイヤーな発言が飛び交いまくる。

 喧嘩なんて両者から事情聴取しないと公平に判断できないのに、男性を悪者にして盛り上がります。女の宴は血祭りですよ。たまにやると楽しいですけどね。

 人のパートナーにケチをつけて盛り上がるのは一種のコンテンツです。でもそれを真に受けると自己評価が曇ってしまう。愚痴と慰めの応酬は、酒の肴程度に考えておかないと。

 客観的な厳しい意見を言ってくれる友人を持たずに、自分を気持ちよくしてくれる悪口仲間とばかりつるんでいると、この「罠」にハマりこんでしまいます。

いつまでも港区女子で居続けないで

――自己評価が極限にまで高まった港区女子ならではの様々な「罠」がありましたが、どうすれば脱することができると思いますか。

くるみ:いつまでも自分が「ゲーム」の主催者だと思わないことです。私たちは若さと美貌を武器に、「ゲームマスター」として港区で行われる会(ゲーム)を仕切ってるという全能感を持ってしまいがち。でも本当はゲームに参加させてもらっている、一プレイヤーに過ぎない。

 ただのちっぽけなプレイヤーだということを自覚できると、トイレに流したはずの自分の欠点が逆流して戻ってきますよ(笑)

「私ってこんないい女」という歪んだ肯定感ではなく「私ってたくさんダメなところあるけど、まあいいか」という自己受容を持てるようになるといいですね。すると、パートナーのダメなところも一気にチャームポイントに見えてきます。

 私もあなたも足りない者同士だね~って認め合うところから、港区女子の卒業が始まる気がします。

 時代の寵児となった「港区女子」にも様々な罠が存在していたようだ。
恋愛や結婚だけが女性の人生の全てではない。ただ、「そろそろいい歳かも」と次のライフステージを考えた時に、道標となるものがあれば有難い。様々な経験を積んだジェラシーくるみさんの最新刊『そろそろいい歳というけれど』では、そんな女性達の悩みや迷いに寄り添いつつ、モヤモヤの言語化とリアルな対処法を与えてくれる。年頃の全女性にとっての「友人」のような一冊だ。次のライフステージを見据えた時、こんな「友人」を迎えてみてはどうだろうか。

Book Bang編集部
2023年2月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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