『師匠はつらいよ 藤井聡太のいる日常』
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『師匠はつらいよ』杉本昌隆著
[レビュアー] 産経新聞社
副題に「藤井聡太のいる日常」とあるように、将棋界の至宝を弟子にもつ師匠が今年4月まで2年間、雑誌に連載したエッセーをまとめた。先に最高段位の九段へ昇段したことに「ずるいですね」と表したり、未成年の弟子に渡す一門恒例のお年玉を稼ぎが多い藤井棋聖に渡すかどうか悩んだり…。
将棋に没頭し多発する忘れ物、たびたび襲われるぎっくり腰への対処など、棋士ならではのつらさも吐露するが、多くはユーモアで収める。たびたび登場するのが、自らの師匠で早世した板谷進九段のこと。成績でまさったとしても、師匠を超えることとは別もののようだ。(文芸春秋・1760円)