『日本史を支えてきた和紙の話』
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『日本史を支えてきた和紙の話』 朽見行雄著
[レビュアー] 産経新聞社
和紙の誕生以前に書かれた中国の歴史書『魏志倭人伝』には、魏から称号と金印を与えられた卑弥呼の魏への返書に関する記述がある。では、その返書は何に書かれていたか。和紙の製法・品質の分析や文献研究などを行う和紙文化研究会の会員が、「和紙視点」で日本の歴史と文化を読み直した。
書写材、芸術、建具などで利用される和紙は、その起源に諸説があり、著者は古墳時代との見方を示す。「日本人の心は、和紙なしでは語り得ない」とつづり、平安文学の成立など各時代に和紙が果たした役割を探るほか、デジタル時代の和紙の在り方など示唆に富む意見も。(草思社・2090円)