『犬が看取り、猫がおくる、しあわせのホーム』
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『犬が看取り、猫がおくる、しあわせのホーム』石黒謙吾著
[レビュアー] 宮部みゆき(作家)
神奈川県横須賀市にある特別養護老人ホーム「さくらの里 山科」では、高齢者が犬や猫と共に暮らすことができる。個人が愛犬愛猫を連れてくる同伴入居の場合、さくらの里が保健所などから保護犬猫を引き取る場合、同伴入居した犬猫が飼い主を看取(みと)り、ホームのなかで次の飼い主と出会う場合など、様々なケースがある。「看取り犬・文福」を取り上げたNHKのドキュメンタリーでご存じの方もおられるかもしれない。もう十年も続いているというこの「共に生き共に老いる」取り組みを支えているのは、さくらの里の職員と関係者の皆さんの心の内にある、「人とどうぶつのいたわり合い」への揺るぎない信頼だ。
本書は写真が豊富なので、ページを繰ればホーム内の様々な場面を見ることができる。それ以上の多くを語る必要はない本だ。ただ、涙腺崩壊してしまうことにはご注意ください。(光文社、1760円)