就職活動に挫折し、20代後半、実家住まいのニートとして暮らしていた“俺”は、ついに親から愛想をつかされる。遺産相続の名目で伯父の不動産を任され、離島への移住を余儀なくされてしまう。
がけっぷちの主人公が思いついたのが、ニート仲間を離島に集め、シェアハウスを営むことだ。コンビニすらない小さな島で、アイデアを出し合い、毎日を充実させていく。仲間のいる安心感、彼らを見守る島の高齢者のあたたかなまなざしが、一歩を踏み出す勇気を与えていく。
さわやかな青春小説だが、終盤はミステリー作家らしい展開も。(文芸春秋・1500円+税)
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2020年10月11日 掲載
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