『芸人式新聞の読み方』
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【聞きたい。】プチ鹿島さん 『芸人式新聞の読み方』
■「半信半疑力」を鍛えよう
「ブログで新聞社説のパロディーを書いていたのが最初です。芸能界のくだらない話題を社説風に『誠に遺憾だ』とか(笑)。それを喜んでくれる人がいて、気づいたんです。そうか、楽しめばいいんだって」
タイトルの『芸人式』とは、どうすれば新聞をもっと面白く読めるかという視点のこと。例えば第1章で取り上げられるのは「オバマすし報道」。平成26年に来日したオバマ大統領は安倍首相と銀座の有名店ですしを食べた。ところがある新聞に、宿泊先のホテルにもすしが届けられていたという記事が出る。〈どれだけすしが好きなのか!?〉と調べ始めると、あの話とこの話がつながって…。
「新聞をミステリー小説として楽しんだ例ですね。ジャーナリストではないので真相はわかりませんが、見立てと読み比べで新聞記事はいくらでも楽しめる」
さまざまな読み方が紹介される。各紙をキャラクターとして擬人化した章も笑える。ちなみに本紙は〈和服で小言を言ってる頑固なおじさん〉だって。〈『朝日』の高級背広のおじさんと対照的でわかりやすいと思う〉とのこと。
「各紙の『キャラ』の違いや『芸風』を認められない人が増えている。自分の論調と違うからと罵倒したり無視したりするのは、もったいない。すぐイエス・ノーで脊髄反射するんじゃなくて、ちょっと外側からいろんなおじさんたちを愛(め)でる。なんで仲悪いんだろうとか、ヤジ馬目線で見せてもらう、僕はそうやって楽しんでます」
朝刊各紙、スポーツ紙、夕刊紙まで毎日必ず目を通す。ツッコミどころが多い〈熱量〉のあふれた記事がお気に入り。そんな著者のように軽やかにニュースを楽しむコツは…。
「『半信半疑力』を鍛えること。柔軟に世の中を見られるように。ひとつのことを断定してしまわないで、こういう見方もあるかもって疑ってみる。その疑うことを楽しめる余裕がほしいですね」(篠原知存)(幻冬舎・1400円+税)
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【プロフィル】プチ鹿島
ぷち・かしま 昭和45年、長野県生まれ。スポーツから政治まで幅広いジャンルをネタにする「時事芸人」として活躍。