『ロシアの躁と鬱 ビジネス体験から覗いたロシア』中尾ちゑこ著
[レビュアー] 産経新聞社
ソ連崩壊後の1990年代、50歳近くの女性社長が「気まぐれな好奇心」からモスクワのビジネススクールで短期講師を務めたのを転機に、ロシアビジネスに斬り込んでいった奮闘記。
社会主義からの体制移行で右往左往するロシア人に自由経済への扉を開く役割だったが、著者もまたロシアに引かれていった。以来四半世紀、著者の目に映ったロシア人の姿が赤裸々に描かれる。
「謝らない文化」「ビジネスに不向き」「親切とお節介は紙一重」など辛辣(しんらつ)な言葉の裏で、自身も「気持ちで動く」ロシア人に感化され…と告白するなど思いが伝わってくる。(成文社・1600円+税)