発達障害者22人へインタビュー、そのホンネ

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私たちは生きづらさを抱えている

『私たちは生きづらさを抱えている』

著者
姫野桂 [著]/五十嵐良雄(メディカルケア大手町院長) [監修]
出版社
イースト・プレス
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784781617008
発売日
2018/08/07
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

みんなにわかって欲しい発達障害の本音

[レビュアー] 吉田豪(プロ書評家、プロインタビュアー、ライター)

 ボクが選考委員をやっているミスiDというオーディションは「メンヘラの巣窟」だと一部でよく言われるんだが、ただ単に、人前で全然会話ができないとか、面接に8時間遅刻するとか、所属事務所を辞めたばかりでしばらく活動できないとか、普通のオーディションなら落とされるような問題を抱えた女の子も評価するから、精神的に病んだ子も多くなるってだけの話である。メンヘラアピールをしようとした子が、精神科の病院から外出許可をもらってパジャマのまま来た子の本物ぶりに心が折れて何も言えなくなったこともあった。

 そして、そこに応募するような子は集団に馴染めなかったり、時間を守れなかったり、空気が読めなかったりしがちで、そのせいで自己評価が異常に低かったりするんだが、実は自分が発達障害だってことを理解していないことも多くて、わかっていてもすごく申し訳なさそうに告白してくるから、ボクは「ここに来る人の中ではよくある話だし、こういう仕事には向いてますから」と答えるようにしている。

 発達障害当事者22人のインタビューを集めたこの本の著者も、やっぱり発達障害だった。この著者が語る、学生時代の「他の子たちは昼休みに外でドッジボールや鬼ごっこをして、楽しく遊びながらコミュニケーションを取っているように見えたが、私はひとり教室で本を読むほうが楽しかった。自分は普通の人ができる普通のコミュニケーションが取れていないように思えた」という思い出や、「入社してもやはり、私は浮いていた」けれど、フリーライターに転身したら「うまく適応できた。取材や打ち合わせがない日だと、1日誰とも会話しない日があるのも楽だったし、締切に間に合いさえすればマイペースに仕事ができる点も向いていた」って、それ完全にボクですよ! 最近、発達障害持ちの竹熊健太郎先生に「吉田さんも、たぶん発達障害ですよ」と言われたけど、他人事みたいに受け止めてたのに!

新潮社 週刊新潮
2018年9月13日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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