学びの友となる教科書を目指して――『社会保障法』刊行によせて
恩師への感謝
――やっぱり、岩村先生が会合に参加されて、そのご指導を仰ぎながらも皆さんでちゃんと議論されているというのがバランスがとれていてすごいなと思っていました。皆さん世代が近いこともあるのか、誰かの発言に気を遣うとかそういうことが全くなく。
渡邊 そういうのは確かにないですね(笑)。
中野 ない。敬いが足りないと怒られるかもしれませんけど。
笠木 すみません、態度が大きくて(笑)。
嵩 この4人だとしゃべりやすいですよね。
渡邊 岩村先生の下で教科書の内容を議論(+おしゃべり)するのは、記録を取られながら教科書について自由に話をしてくださいと言われた今日の座談会に比べて格段に話しやすかったですね(笑)。
嵩 岩村先生がみんなを集めて食事会を開催してくださったり。日頃の付き合いがいろいろあるので、やっぱり、こういう仕事のときでも仲良くできますね。
中野 そもそも東大にいた頃から、岩村先生が我々の間の雰囲気をうまくつくってくださっていたというのはあったとは思いますね。
嵩 岩村先生のおかげでこんなに和気あいあいと。
中野 さりげなく師匠への感謝を述べておきます。
嵩 就職後は先生とも全く交流がないというようなケースとか、弟子間でも一緒に何かをやるみたいなことがないという話もけっこう聞きますが、我々、特殊みたいなので。
中野 仲良過ぎる。
渡邊 岩村先生がいろいろ気を遣ってくださって、良好な師弟関係が築かれていることが大きいですよね。先生のお陰ですね。
笠木 岩村先生は、ほとんど全部の会合に出席されたのですよね。
嵩 私たちは産休、育休とかで休んだりしましたが。
渡邊 これだけ実質的にいろいろご指導いただいたのに。監修としてお名前が載らないというのはいいのでしょうか?
中野 本当は監修で載っていただいたほうがいい。
笠木 これまで伺ったことがなかったのですが、先生はどうして監修者となることを固辞されたんですか?
――もう、皆さんの時代だからということです。当初、10年前の段階からそうでした。4人でやってくれと。
渡邊 それなのに、こんなに10年間も付き合っていただいて、申し訳ないです。
中野 北海道まで付き合ってくれて、しかもレンタカーの運転までしてくださって。
渡邊 運転、させてましたね(笑)。
嵩 私たちだけビール飲んで。
中野 ジンギスカンを食べに行っても先生は飲めない。
――本当に一生の思い出ですね。楽しかったです。
渡邊 では、しっかり売って、版を重ねましょう! ということで(笑)。そうしたら、また打ち合わせで会えますね。
中野 次はボルドーで。私の野望は岩村門下でヨーロッパ旅行。スウェーデンからフェリーでドイツに渡って、ベルギーとフランスを経由して、イタリア、スペイン、ポルトガル。全部岩村門下で語学的にカバーできる。
笠木 それぞれが、その国でのツアーのプログラムを考えるんですね。
中野 ただし、黒田君(黒田有志弥:国立社会保障・人口問題研究所)が活躍する場面がない。
笠木 アメリカ?
中野 フランスからじゃあノルマンディー海峡を渡ってイギリス? 英語は誰でもしゃべれるじゃん。
笠木 しゃべれないです(笑)。
――本当にそんなことができたら楽しいでしょうね。ぜひそのときを楽しみにしておきたいと思います。今日は本当にありがとうございました。
(2017年12月10日収録・聞き手:『社会保障法』編集担当 一村)