【児童書】『エベレスト』

レビュー

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エベレスト

『エベレスト』

著者
サングマ・フランシス [著]/リスク・フェン [イラスト]/千葉茂樹 [訳]
出版社
徳間書店
ジャンル
歴史・地理/地理
ISBN
9784198648916
発売日
2019/07/19
価格
3,080円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

【児童書】『エベレスト』

[レビュアー] 横山由紀子

■神秘の山へ旅情かきたてる

 標高8848メートル。世界最高峰のエベレストに、ロマンを感じる人は多いだろう。生息する高山植物や動物、土地の伝説、登頂の歴史が、素朴な雰囲気の絵とともに紹介され、エベレストの魅力が伝わってくる。世界10カ国以上で翻訳出版された話題の絵本だ。

 登頂にまつわる軌跡は興味深い。1921年、チベットから入山許可がおりたことで、世界の登山家が山頂を目指したが、厳しい気候と自然環境に阻まれ犠牲者を出すなど試練の連続で、初登頂の成功は英国隊による53年まで待つことになる。現在は複数の登山ルートが確立され、年間何百人もが登る山となり、頂上へと続く長い行列が見られるという。

 一方で、ごみ問題が深刻だ。テントの切れ端や食品のアルミ包装紙、酸素ボンベなどが残され、純白だった山の姿が変わり始めていると、警鐘を鳴らす。

 それでも、周辺には特有の動植物が生息し、新種の生き物が次々と発見される神秘の山である。いつかエベレストへ-。そんな旅情をかき立てられる一冊だ。(サングマ・フランシス文、千葉茂樹訳、リスク・フェン絵/徳間書店・2800円+税)

 横山由紀子

産経新聞
2019年9月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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