『ビジュアル解説 腎臓病は運動で改善する!』
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
<東北の本棚>リハビリ継続にエール
[レビュアー] 河北新報
おしっこを作り、体内の老廃物を排出する腎臓。安静第一が常識とされていた腎臓病の治療を百八十度転換し、運動療法の導入を国内外に提唱してきた著者の「東北大学式・腎臓リハビリ」指南本の第2弾となる。
腎臓のろ過機能の低下が3カ月以上続く病態を総称し「慢性腎臓病」(CKD)と呼ぶ。国内のCKD患者は成人の8人に1人に当たる1330万人に上る。70代では3人に1人、80歳以上では2人に1人がCKDを患っている。
運動制限の主な理由となってきた尿タンパクの増加は運動後の一時的な症状であり、安静が及ぼす身体機能低下の弊害の方が大きいと、著者は指摘する。急性心筋梗塞患者で、退院後1日4000歩以上歩いたグループの腎機能が改善したという臨床研究結果にうなずかされる。
東北大学式の3本柱は有酸素運動、筋力トレーニング、ストレッチ。正しいフォームをカラー写真で掲載し、ゴムチューブを使った負荷のかけ方なども盛り込んだ。セット数や1週間のメニューを例示しているのも親切だ。「挫折しても再開すればいい」と継続にエールを送る。
著者は1956年山形市生まれ。東北大大学院医学系研究科教授。日本腎臓リハビリテーション学会理事長。(浅)