ブックセンターササエ「昔の人はあんな事やこんな事で悩んでいた」【書店員レビュー】

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ブックセンターササエ「昔の人はあんな事やこんな事で悩んでいた」【書店員レビュー】

[レビュアー] ブックセンターササエ(佐々栄文盛堂)(書店員)

落ち葉舞い落ちる季節になると、なんとなくユウウツな気分になる。誰かにハナシを聞いて欲しい、という気持ちになる。(のは私だけでしょうか)そんな悩める人向けに人生相談本コーナーを作りました。ところが動きが芳しくなく。そのコーナーを撤去するに至ったのですが、こんな面白い本を返品するのは勿体ない、と思いここに紹介します。

大正3年(1914年)から大正11年(1922年)発行の読売新聞紙上の「身の上相談」から129名の人生相談を厳選収録したもの。今から約100年前、昔の人はいったいどんな事で悩んでいたのでしょうか。興味ないですか?読んでみると気が付きますが、本質の部分では現代人の悩みとほぼ変わらないです。恋に、仕事に、家族に、人間関係に悩んでいます。一部、思わず笑ってしまうようなかなり「おかしな悩み」(ご本人にとっては深刻なのでしょうが)も収録されています。相談に対する回答者のアドバイスも実に面白いです。相談者を親身になって心配しての配慮深いアドバイスから、甘えた相談に対して一刀両断するかのごとき厳しい回答まで。100年経っても人間の本質は変わらず。現代に生きる私達が生きるヒントのようなものが「大正時代の悩み相談」から読み取れるかもしれません。

トーハン e-hon
2015年10月27日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

トーハン

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