<東北の本棚>多様な背景をひもとく

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<東北の本棚>多様な背景をひもとく

[レビュアー] 河北新報

 日常生活に溶け込む「風景」。絵画や文学、意匠などのモチーフともなり、人々の認識や感受性の在り方を探る手掛かりにもなる。風景という窓を通して見える世界を分析し、そこに息づく文化や歴史的背景を探るのが本書の狙いだ。宮城学院女子大の教授6人が各専攻分野ごとに執筆した論文をまとめた。
 土屋純氏(人文地理学)の「景観論から見る沖縄風景の解釈」は、竹富島の赤瓦の屋根や白砂の道、水牛車などの「沖縄らしい」風景が観光業と相関して整備・保全されてきたことを紹介。伝統的な祭事などを通じた強固な地域社会が景観形成に重要な役割を果たしてきたことを指摘する。
 森雅彦氏(西洋美術史)の「イタリア・ルネサンスにおける風景画の一側面-ローマの風景壁画を中心に」はルネサンス期にパレルガ(付属物)としてあった風景画がどのように自立した風景画へと変遷したのかを探究。古代芸術の影響など、多様な文化的背景の存在を豊富な例でひもとく。
 筆者はほかに、今林直樹(フランス政治史)、小羽田誠治(東洋史)、大久保尚子(日本服飾史)、九里順子(日本近代文学)の各氏。絵画好きの教授3人の呼び掛けをきっかけに研究者が集い、定期的に学内で討論するなど学際的な共同研究を重ねたという。
 翰林書房03(6276)0633=3888円。

河北新報
2016年11月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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