SKE48が書いた「営業ハウツー」「自己啓発」本?

レビュー

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現役アイドルによる営業ハウツー本!?

[レビュアー] 吉田豪(書評家)

 AKBのブレイク以降、アイドルにはルックスや歌やダンスだけではなく、握手のスキルも求められるようになった。ファンの顔やプロフィールを覚えて、感情を込めながら手を握り、会話を盛り上げてお金を使ってもらうという、凄腕の営業マンやキャバクラ嬢みたいなことをやらなければいけない時代になったのだ。

 そんな中で評価されたのが、デビュー当時から「とんでもない握手モンスターがいる!」と噂になっていたSKE48の須田亜香里である。

 ルックス的に恵まれているわけでもない彼女が成り上がっていった理由を明かすこの本は、現役アイドルによる営業ハウツー本であり自己啓発本。「ブスから神7⁉」という帯文が強烈すぎだが、だからといってアイドルとして成り上がっても決して幸せなわけではない。なぜなら選抜総選挙で10位に選ばれた頃、彼女は自分に「SKE48という、キラキラとした宝石の中に、ダンゴムシが一匹迷いこんでいるイメージ」を抱き、そしてこうなってしまうのだ。

「2015年。2月になったころ。生まれてはじめて偏頭痛になりました。一週間続くあまりの痛さに、一睡もできなくなり、歩くことさえできなくなってしまいました。息を吸うのも苦しくなって呼吸が上手にできなくなる。目もチカチカして、明るい色が見られない。痛み止めを飲んでも、ついに効かなくなる。食事ができない。薬が合わず、顔がパンパンに膨らんでくる。手足もしびれてくる。あぁ、私はこのまま終わっちゃうのかもしれない」

 これ、「ブス」だと番組でいじられて「ブスキャラ」を演じたりと、「人から求められるアイドル像」を追求した結果、「“本当の自分”は、誰にも必要とされていない気がして、自分のことが大っ嫌いに」なったのが原因らしいんだが、指原莉乃が著書『逆転力』で「本当の自分とかどうでもいい。人から求められるのが本当の自分だと思え」とか言っていたのがやっぱり真理なのである。

新潮社 週刊新潮
2017年4月13日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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