『死の舞踏』
- 著者
- スティーヴン・キング [著]/安野 玲 [訳]
- 出版社
- 筑摩書房
- ジャンル
- 文学/外国文学、その他
- ISBN
- 9784480433329
- 発売日
- 2017/09/06
- 価格
- 1,650円(税込)
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
『11/22/63 上』
- 著者
- スティーヴン・キング [著]/白石 朗 [訳]
- 出版社
- 文藝春秋
- ジャンル
- 文学/外国文学小説
- ISBN
- 9784167907211
- 発売日
- 2016/10/07
- 価格
- 979円(税込)
書籍情報:JPO出版情報登録センター
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あのS・キングによる決定版ホラー入門!
[レビュアー] 大森望(翻訳家・評論家)
『ゾンビ』のロメロと『悪魔のいけにえ』のフーパー。一時代を画した2人の巨匠が相次いで世を去り、ホラー映画の時代も終ったような気分だったが、ちくま文庫から出た『死の舞踏』巻頭の「恐怖とは――二〇一〇年版へのまえがき」を読んで反省した。『ソウ』や『スネークフライト』『ミスト』について嬉々として語るスティーヴン・キングのホラー愛は微塵も衰えていない。作家としてはもちろん、ホラー・マニアとしても、まだまだ現役バリバリなのである。
『死の舞踏』は、そのキングによる、最高に面白い決定版ホラー入門書。自伝的エピソードを豊富に交えつつ、メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』に始まり、映画は『エクソシスト』に『ゾンビ』に『エイリアン』等々、小説ならストラウブ、レヴィン、ブラッドベリ、エリスン他多数を、快刀乱麻の名調子で縦横無尽に語り倒す。
本書はもともと、キングがまだ30代前半だった81年に書き下ろした名著。何度も改訂されて、今なお読まれ続けている。日本では、93年に福武書店から最初の邦訳が出て文庫化されたのち、04年にはバジリコが改訳新版を刊行。今回が4度めのお勤めだが、“待望の改訳決定版!”と謳うだけあって、10年の米国版と12年の英国版をもとにデータを全面更新。さらに、30ページを超える前述の新しい序文と町山智浩の巻末解説がつき、旧版の所持者でも買い直す価値がある。
一方、キングの小説のほうでは、15年に出た『ファインダーズ・キーパーズ』の邦訳が9月末に文藝春秋から刊行されるが、これは単行本。文庫で読めるお薦めの近作は、14年版このミス1位の『11/22/63』(文春文庫)。過去に通じる抜け穴を使ってケネディ大統領暗殺を阻止しようとする、ノスタルジックなサスペンス大作だ。
角川文庫で10月に完結する《ダークタワー》は巨大なダークファンタジー7部作。もともと角川書店から第4部まで邦訳が出たあと、新潮文庫で全巻刊行され、今回、里帰りしたかたち。未読の方は、秋の夜長をキング漬けで過ごせそうだ。